ヨーロッパ中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を導入した理由

一番最初にマイナス金利政策を始めたのはスウェーデン国立銀行

2009年の7月にスウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行が世界で初めてマイナス金利政策を導入しました。

金利はマイナス0.25%に設定されました。

2008年の世界金融危機による経済のスローダウンを止める目的でした。

ECBのマイナス金利政策の狙い

そしてECBは2014年にマイナス金利政策を導入しました。金利は当初マイナス0.1%でしたが9月にはマイナス0.2%となりました。

2014年はヨーロッパがデフレスパイラルに突入するのではないかと非常に心配された年です。

同年8月にはイタリアでは消費者物価が過去50年ぶりに下落、ポルトガルやスペイン、ギリシャの物価も下がりました。

経済状態が悪いときは人々も企業も現金を溜め込み使おうとしません。そのことが更に経済を悪化させます。

物は値下げせざるを得ず、それでも売れないと雇用を減らします。

それらを食い止めインフレ方向(インフレターゲット2%程度)に舵をとるためヨーロッパ中央銀行はマイナス金利政策を決めました。

事実上中央銀行にお金を預けると金利を取られるので企業などに積極的に貸し出させて景気を良くしようという狙いです。

これは2016年の日銀のとったマイナス金利政策と同じ狙いです。

もう一つの目的はユーロの価値を下げることです。

対外的にユーロの通貨価値が低いと輸出の需要が増え、企業の拡大に繋がります。

約5年のマイナス金利政策でヨーロッパはどうなったのか

2018年11月フランクフルトで年一回開催されるヨーロッパ銀行業会議でのECB総裁マリオ・ドラギ氏のスピーチを聞いてみましょう。

情報を得るための英語学習

EU圏の経済は5年に渡って成長してきました。しかしここ最近成長の勢いがなくなってきています。

2018年1期のユーロ圏の経済成長はわずかに0.2%でした。(日本の2018年通しての実質経済成長率は0.6%)

経済拡大の期間は短く規模も大きくなく減速傾向にあります。

2018年の成長が鈍化している原因の一つは新しい車の排ガス規制です。自動車会社は検査をしていない車の在庫を増やしたがりませんでしたし、そのことが経済に与える影響は大きかったです。

ですがこのようなことは一時的なものです。すぐに元の状態に戻るでしょう。

もう一つの原因は貿易の不振です。2017年のユーロ圏の輸出量は1.4%の成長がありましたが、今年は0.2%とかなり低調です。

世界全体の貿易量も2017年に成長率5.2%だったものが今年の前半で4.6%となっています。

これまでの世界の急激な貿易の伸びは貿易自由化とヴァリューチェーンの創造にありましたが世界金融危機の影響で吹き飛びました。

そしてアメリカが保護主義的貿易を進めることで自由貿易に亀裂が走ろうとしていることも事実です。

という感じの長いスピーチを一本調子でのらりくらしとこなしているドラギ氏ですが、経済が明るくなるような兆しを何も感じさせてはくれませんでした。

マイナス金利政策での結果や効果があまり出ず、イギリスのブレグジットがハードであれソフトであれ成功する形を取ると他のEU加盟国からの不満は高まりEUも崩壊する流れになるでしょうね。

ドイツ経済は好調ですがいつまで続くか分かりません。

ECBプレスカンファレンス2019年6月

2019年6月に開催されたECBのプレスカンファレンスでこれから変更されることについての発表がありました。

当初ECBのマイナス金利政策は2019年の上半期までとされていましたが2020年の年度末までと引き伸ばされました。

日本のマイナス金利政策は2016年から

ECBのマイナス金利政策を真似して始めた日銀。

物価安定率2%(インフレターゲット)もECBのパクリですが(黒田総裁はこの2%は世界のスタンダードと発言しています)、達成できていません。

この影響を受けてもがき苦しんでいるのは銀行です。

もはや本業で黒字にすることは厳しいです。2018年には地方銀行の約半数が2期以上続けて赤字を垂れ流しているというニュースがありました。

スルガ銀行のように不正融資をしまくるか、海外でいうと、ウェルズ・ファーゴのように顧客の知らない間に勝手にクレジット契約を結ぶなどの不正営業でその場を凌ごうとすることは追い詰められての最後の悪あがきなのかもしれません。