ロサンゼルスの凄まじい貧困。ダウンタウンのスキッドロウのホームレスがカオス

ダウンタウンロサンゼルスのスキッドロウがやばすぎる

約8分の動画を2つご用意しました。勿論私が作った動画ではありませんが。

暗い気分になること間違いない記事ですが、まずは明るい部分のダウンタウン・ロサンゼルスを見て頂きましょう。

ダウンタウン・ロサンゼルスに観光で来たらすべき10個の事!

いや~実に楽しそうであります。

ザ・ブロード(The Broad)という名前の入場料無料の現代アート美術館で巨大なバルーンアニマルや机を見て、シドニーのペラハウスに似たウォルト・ディズニー・コンサートホールを見学。

かつて1stストリートからオリンピックブルバードまで伸びていたブロードウェイ。10を超える劇場が並び活気があったのは1905年頃から第二次世界大戦を挟み1950年代頃まで。それ以降は寂れる一方だったのですが、2008年にこの地区の活性化のために50億円ほど投入され現在は多少見られるようになっています。

次は1893年に建てられたこのあたりで最も古い商業ビルであるブラッドベリービルディングの内部探索。映画ブレードランナーはこのビルで撮影されたとか。

ロサンゼルス市庁舎も見学が可能。27階からはロサンゼルスのダウンタウンが一望できます。

リトル東京と芸術地区をササッと見て、エンジェルシティブルワリーでビールを飲んで、発音できない店名のドイツ料理の店でソーセージをたらふく食べて、チャイナタウンで更にアメリカ人好みに味付けしたまずい中華も食べて腹ごしらえができたところでスキッドロウに行きましょう。

ダウンタウン・ロサンゼルスのスキッドロウ見学ツアーbyアルジャジーラ

さて、このアルジャジーラの8分動画でロサンゼルス・ダウンタウンのスキッドロウ(skid row=どや街という意味)と呼ばれている場所の全体像を見てみましょう。

この地域のカメラやスマホでの撮影は決死の覚悟ですべきです。ユーチューバーが面白半分に行くところでは本当にないので絶対にやめておきましょう。

この女性レポーターの背後にはボディーガードが数名いる筈です。

それでも何カメラで撮影してるんだ!殺されるぞ!とヤジを飛ばされています。

衛生状態が最悪で病気も蔓延するスキッドロウ

あちこちに落ちている注射器、尿の臭い、風呂に入っていない獣の臭い、麻薬中毒者だけでなく精神疾患を抱えるもののこのスキッドロウでテント生活しています。

LAカウンティーだけでホームレスの数は約6万人います。ストリートに堂々とここまで多くのテントが並んでいる街は全米でもスキッドロウしかないでしょう。テントシティーと化しています。

案内役のスゼットさんはかつてこのスキッドロウにあるシェルターで6年ほど住んでいましたが、今は国が補助してくれるアパートに住んでいます。

ゴミ箱が周りにないのでゴミは通りに捨てられ衛生的にも最悪となるため定期的に衛生専門部隊がマスクや防護服を着てストリートを掃除します。放置すると疫病が発生するからです。

スキッドロウではシェルターに入れないホームレスが2000名ほどおり、公共トイレは僅か9つ。そして公共トイレに紙は設置されていませんが、ホームレスの殆どはトイレットロールを持っていません。何をか言わんやです。

トイレ状況はシリアの難民キャンプより酷い有様ということで先進国アメリカのスキッドロウは難民キャンプ以下の暮らしです。

注射器の再利用など衛生状態が悪いせいで肝炎やエイズが流行したりと健康状態も悪いです。

LAカウンティーのホームレス6万人の半数以上が薬物依存、25%が精神疾患を患い平均寿命は48歳だそうです(アメリカの平均は78歳)。

精神疾患を治療されないで刑務所からでてきた人はホームレスになる確率が高く、言動が破綻しているので間違ってロサンゼルス警察に射殺されたりします。Black Lives Matterです。撃った警官は正当防衛で無罪です。

家賃高騰と収入減がホームレスが増加する一因

ロサンゼルスでは15年間でアパートの家賃は28%上がりましたが、人々の収入は8%下がっています。つまり家賃の支払いに苦労する人が少なからずでてくるのです。

フードスタンプなどの補助にありつけなかった場合、ホームレスに転落ということは容易にあり得ます。

2016年、ロサンゼルス市は約1200億円を以後10年かけて1万世帯分の低所得者向けの住居建設に当てるとしましたが、その建設場所で揉めています。

そんなもんうちの近所に建てるなよ!とかなかな場所が決まらない問題です。

スキッドロウ周辺の物件を見てみましょう。

この外観でリトル東京のスキッドロウ側、間取りはワンルーム。

リビングダイニングが10畳ほどとなります。これで月1700ドルです。

ABODOという不動産のホームページで探してみたのですが、1000ドル切っている物件を探すのは難しいです。

それでもスキッドロウ内には1000ドル台の物件がりロスアンゼルスの1ルームの相場が2000ドルほどなので治安が悪い分幾分安くなっているようです。

しかし家賃20万も払うのが平均だと例えホームレスではなくても生活が立ち行かなると明日にでもホームレスになり得る予備軍が大勢いることがわかります。

予算1500ドルでサンタモニカ、バンナイズ、ベルエアの物件を見てみる

まずサンタモニカ。ダウンタウンからバスで約50分のビーチがある人気観光地。外観はみすぼらしいですが、中は汚くはありませんが狭いそして月1500ドル。

お嬢さんも言っていますが予算1500ドルで不動産サイトで検索をかけても殆どヒットしません。

2番めの物件は二人でシェアすることが前提の2695ドル物件。一人あたり約1350ドル。場所はダウンタウンから北西にバスでやはり50分ほど行ったところ。あまり良い立地ではありません。

2ベッドルーム2バスルームで各部屋にウォークインクローゼットもあり、マンションの施設内にジムやビリーヤード台+コンピュータールーム、バーベキュースペースもあります。

最後はビバリーヒルズの北西に位置する高級住宅街ベルエア。月3000ドル。二人で割れば丁度1500ドルです。建物自体が古くリノベーション済みではありますが、バスルームは一つしかありません。しかし周りの環境がよく便利で治安もよいようです。

1)立地条件がよくしょぼい完全一人暮らし用アパート、2)立地は悪いがゴージャスな二人でシェアアパート、3)立地がよくそこそこのアパート

の3タイプを紹介してくれました。彼女は3)が気に入ったようです。

一人で住むことを考えてこんな感じ。これで4人家族とかで住もうとするとどれだけお金がかかるのかという話です。

世界中でホームレスが増えている理由

2017年に全米のホームレスの数は2010年以来初めて増加しました。それにも関わらずトランプ大統領は家賃補助を含むソーシャルセーフティーネットプログラムの予算をカットしようとしています。

最後の案内役スゼットさんの言葉が印象的です。

「社会は貧しい人々のことを怠惰であるような病理のようにとらえますが、スタンフォード大卒の看護師の女性やかつてはお金持ちだったのにスキッドロウに落ちてきた人を知っています。皆同じ人間です。」

ホームレス問題は格差社会の問題です。

自らの利益のみを貪る多国籍企業や大企業とそれらに都合の良い政策を取り続ける政府。国民の幸せなど知ったことではない官僚や政治家。世界で同じことがなされ、富が一極集中しています。これと麻薬が端的に言えばホームレス問題の全てだと思います。

ロサンゼルス・スキッドロウの場所・地図

青いラインで囲んだところがスキッドロウです。最初のお気楽観光動画にも出てきたウォルト・ディズニーコンサートホール、ロサンゼルス市庁舎、リトル東京からは余裕で歩いて来られるところにこの世の地獄があるのです。

17年間スキッドロウを見守ってきた警察官の話

ロサンゼルスタイムズの動画です。17年間この地域を見守ってきた警察官のディオン・ジョセフ氏です。

ホームレスのテントにドラッグの売人が紛れてホームレスの人々を食い物にしている。そう言った輩を取り締まるのも彼の仕事の一つです。

ジョセフ氏が話しているスパイスという麻薬はぱっと見マリファナに見えますが、ハーブに工場生産のケミカルを加えて作られた合成マリファナとも呼ばれる危険ドラッグです。

マリファナより少量で強力かつ効き目も長く安いためホームレスの間で蔓延しています。

スパイスはブランドごとに効果も異なり幻覚や奇行を引き起こすようなものもあり、踊りながらバスに轢かれる人もいます、、、とジョセフ氏がLAタイムズの女性記者に熱心に説明しているのですが終始彼女は上の空です。

あまりにも危険な状況で(多分ホームレスたちに舐めるような目で上から下までジロジロ見られています)取材どころではなくなっているのでしょう。

スキッドロウに来て3日過ごしてしまったらもうスキッドロウから出られなくなる。そんな噂がありジョセフ氏も多分そうだろうと言っています。

この劣悪な環境に3日絶えられるのであれば、もうこのアメリカ最悪地帯以外もう行くところはなく、また行く必要もなく、平均寿命48歳のエリアでドラッグに溺れ死を待つような生き方をするしかなくなります。

撮影時は2016年。2015年と比べてスキッドロウの強盗は71%暴行が73%、レイプが91%増えるという無法地帯ぶりです。

3分38秒に出てくるホームレスの人々がたくさんいる広場はミッドナイトミッションというホームレス支援団体が運営するコートヤード(中庭)という施設です。

シェルターを拒む人々のために安全な屋外広場(監視付き)と24時間使える清潔なトイレを提供しています。

2年間薬物を絶ちそのことを祝うためそして仲間に伝えるためにスキッドロウに入った女性が売人にコカインを目の前でちらつかされまた薬物依存になってしまった話。

ジョセフ氏はスキッドロウの人々を取り締まるのではなく彼なりの方法で手助けするために巡回しており、だからこそ住民にも好かれ、互いに良好な関係を保てているとのこと。

17年経っても益々悪化しているこの状況に一番心を痛めているのは彼かもしれません。

2010年と2019年の全米州別ホームレス人数

ホームレスネスに関する米国政府機関協議会(The United States Interagency Council on Homelessness)が2010年から2019年までの州別ホームレス人数をマップで表示してくれています。

2010年 出典USICH

2019年

2019年、西の15万人超えがカリフォルニア州(人口約3900万)、東の9万人超えがニューヨーク州(人口約1900万人)です。

このマップを全部足すと56万人ほどになります。つまりこの両州で全米の約半数のホームレスがいるということです。

カリフォルニア州1州(約42万平方キロメートル)で日本の面積(約37万平キロメートル)より少し大きいくらいです。

そしてカリフォルニア州全土でのホームレス人数が約15万にんで、そのうち6万人がロサンゼルス地区にいます。

ロサンゼルスの人口は約400万人ですから15%がホームレスというとんでもない数字を叩き出しています。

赤い部分がロサンゼルスです。

ですから先程のアルジャジーラの動画で女性レポーターがスキッドロウのことをここがホームレス問題のグラウンドゼロですと紹介していたのは真実であるとわかります。

世界のホームレスの縮図とも言えるここスキッドロウには私と同じく赤い血が流れる人間が今日も生活しているのです。