最早国としての体をなしていないベネズエラの経済金融危機。内戦状態で仮想通貨ペトロはどうなった?

催涙マスクを装着し、デモでベネズエラの国旗を逆さまにもって講義する人

400万人国外に脱出。崩壊しつつあるベネズエラ

2019年6月8日にコロンビアとの国境封鎖が解かれ、続々とベネズエラの人々がコロンビアに流れています。

3000万人ちょっとの国から累計400万人も国外に避難しています。
国民の10%以上になります。

マドゥロ政権と、マドゥロ大統領と対立し自らが大統領であると宣言したファン・グアイド氏の支持者との衝突が物凄いことになっています。

2019年4月30日のGuardian newsの映像です。

一説によるとファン・グアイド氏はベネズエラ政府転覆のためにアメリカが訓練・用意した人物であるとされています。

どちらについても地獄ならば国外脱出しかありません。

ベネズエラ人を助ける心優しいコロンビア人達

ベネズエラから隣国コロンビアにスーツケースなどに荷物を詰めて多くの人々が流れ込んでいます。
南米のほかの国と比べて国境を通過するのが容易とされています。

それはコロンビア政府がベネズエラからの移民に対して寛容であるからです。

と言っても無一文の人もいますので、コロンビアに到着して女性であれば髪の毛を売って2,30ドルの現金を手にする人もいます。

87%のベネズエラ家庭は貧困の状態にあり、病気の子供に薬を与えることもできません。

コロンビアの首都であるボゴダの移民キャンプでは医療や法律関係床屋などのサービスを受けることができます。

コロンビア政府の移民援助だけでなく、国境周辺に住むコロンビア人家族が個人でベネズエラからの移民を住まわせるというようなボランティアの活動もあります。

1800年代、コロンビア、ベネズエラ、パナマなどはコロンビア共和国として(大コロンビア)一つの国でした。それが分裂して今日の地図になりましたが、両国ではお互いに親しみの感情があります。

1980年代、90年代を通して反政府左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)による内戦状態が続き、ベネズエラに逃げた人々が多くいましたが、その時ベネズエラの人々に温かくしてもらったことをコロンビアの人々は覚えており、今回恩返しをしようという風に考える人もいるのです。

インフレで苦しむベネズエラ国民。デノミで大混乱


字幕なしで英語を理解したい方はこちら

動画は昨年2016年12月にベネズエラで行われたデノミネーションの際に100ボリバル札の流通がストップし混乱している模様を伝えています。

2019年6月現在のインフレ率は80万%とのことです。

ベネズエラの正式名称はベネズエラ・ボリバル共和国

ボリバルは南米をスペインから独立させようとした革命家シモン・ボリバルから由来しています。

通貨のボリバルにもシモン・ボリバルが印刷されています。

一応見本という文字を入れましたが紙くずになるお札を偽造する人もいないでしょう。紙くず同然の100ボリバル札をトランク一杯に詰めてそれを肴にお酒は飲んでみたいですが。

100ボリバルの交換期間がわずか10日だったことで多くの人が銀行に列をなしました。しかし新札の供給が全く間に合わず路頭に迷う人を大勢出しました。

すぐに価値がなくなる100ボリバル札を商店が受け付けなくなったからです。通貨もボリバルからボリバルフエルテになります

かの地では食料や医薬品が高騰して供給も少なくなっています。

今年4月(2017年)に起こったデモや暴動でも暴徒化した人々が商店からコーヒーやサラダオイル、オムツなどの生活用品を持ち去っています。オムツを窃盗したママさんには同情いたします。

犯罪は勿論いけませんが貧困を背景とした窃盗には心が痛みます。

赤ちゃんのオムツも盗まないといけないなんて、、。

ベネズエラのインフレの原因

表のようにベネズエラはサウジアラビアを2000年代に抜き石油埋蔵量世界一位となっています。

2013年に癌でなくなったチャベス大統領の時からベネズエラは反米路線に走りましたが、輸出の大半は原油のアメリカと中国への輸出に頼っています。

輸出品の90%以上が石油となっていて完全に石油だけのモノカルチャー経済。

昨今の原油価格下落の煽りを受けまくっています。加えてほとんどの商品を輸入に頼っているので外貨を獲得できず品薄状態に陥っています。

またベネズエラはアメリカからの経済制裁も受けています。踏んだり蹴ったりとはこのことです。

しかし我が国の食料自給率も40%を切っておりベネズエラを対岸の火事と見てはいけない気がします。

チャベスの次のニコラス・マドゥロ大統領

国民が飢えているのに高そうな時計をしていますね。

貧困層に圧倒的支持があり反対派も多いものの一定の人気があった前大統領ウゴ・チャベス氏と違い、マドゥロ大統領は人気がありません。任期の2019年まで
持つか疑問視されていました。

マドゥロ大統領は現在54歳ですが、50歳の時に10歳年上のシリア・フローレスさん(元国会議長)と結婚しました。

離婚しましたがペタジーニも姉さん女房でしたね。ベネズエラ人は年上の女性に惹かれるのでしょうか。

ベネズエラは製油会社を国有化したためにハイエナ多国籍オイルメジャー、エクソンモービルに資産凍結訴えを国際裁判にされていましたが、このほどベネズエラ側が
勝った模様です。

エクソンが求めていた14億ドルの補償は認められなかったようです。

マドゥロ大統領にはとびっきりの朗報です

そんなベネズエラで仮想通貨ペトロを導入

マドゥロ大統領はベネズエラの石油とペッグしている仮想通貨ペトロの導入を決定し、60%OFFで購入できるプレセールは2018年2月に始まりました。

当時ロイターはペトロにインチキ臭が漂うと報道していましたし、ニューズウィークは新手の通貨詐欺とまで言っていました。

そしてプレセールの初日で790億円集まったと大統領は言っていたそうです。

アメリカから経済制裁されている国なのでアメリカの企業や個人からの購入はアメリカ政府により禁止されています。

ペトロは仮想通貨ダッシュのコピーであることやその存在自体があやふやであるとの噂もあります。

2019年2月にはベネズエラ内でのビットコインの取引が過去最高となりました。自国の通貨も自国の仮想通貨も信頼できないのでビットコインに逃げた形になっています。

仮想通貨ペトロはいまだ国際的に全く評価されていません。

ベネズエラがデノミを実施!通貨単位を10万分の1に切り下げ。

2018年8月20日、ベネズエラ通貨旧ボリバルはゼロをなんと5つもとっぱらわれました。

1000分の1にするプランもありましたが、きたるハイパーインフレに備え10万分の1のデノミがマドゥロ大統領により実施となりました。

IMF(国際通貨基金)は年末までにインフレ率100万パーセントになる恐れがあると予測しています(現在は3万2000パーセント)。

大統領は先週最低賃金を3000%引き上げましたがインフレ率から見ると焼け石に水状態です。

上記した仮想通貨ペトロは未だ国際的に全く信用されていません。がしかしこの新しいソブリンボリバルはペトロとペッグしているそうです。

これまでの厳しい経済状況での5年間でベネズエラの人々のうち300万人が国外に逃れています。これは人口の約10%に値します。

現在1ヶ月の最低賃金では肉1kgは買えないそうです。

マドゥロ大統領が二期目に突入したもののフアン・グアイド氏が自らが暫定大統領と宣言

こんなに国民が苦しんでいるのに奥さんのファビアナ・ロサレスのセレブ感が気になるところ。

政治家のフアン・グアイド氏は1期目のマドゥロ氏の選挙が無効のため二期目も勿論無効として自らを暫定大統領であると宣言しました。

同じ南米のブラジルやペルーもマドゥロ大統領を認めていません。アメリカやカナダもそうです。

カナダ人の家計は自転車操業

フアン・グアイド氏はこれまで以上にベネズエラの民主化を推し進めるプレッシャーを与えたいアメリカの操り人形であるという見方もあります。

2日に渡って停電中の首都カラカスの様子2019年3月8日9日

3月8日初日ラッシュアワー時に停電となり電車は動かず、信号も点灯しない。バスは満員で道路は大渋滞。結局人々は職場や学校に行けず、歩いて家に帰るしかありませんでした。

そして夜も街は電気がつかないのでただでさえ治安が悪いのに更に悪化して市井の人々は恐怖におびえているそうです。

マドゥロ側がアメリカがこの停電を引き起こしていると米国を非難。

しかしインフラの脆弱性が停電を起こしているのかどうかも明らかになっていません。

本当にベネズエラ国民のみなさんが不憫でなりません。