ヘロイン薬物中毒者ゾンビはなぜ立ったまま前かがみでいるのか

フィラデルフィア・ケンジントンのゾンビストリートの記事はこちらに書きました。

上の画像のように立ったまま前かがみでふらふらしているヘロイン中毒者を動画では数多く見ることができます。

世界中でこのことを不思議に思っている人々が多いようですが、検索してもなかなか医学的回答を見つけ出すのが難しいです。

オピオイドは痛みを抑制する鎮痛作用がある

オピオイドは、強い鎮痛作用を持つ薬物の総称で、モルヒネやフェンタニル、オキシコドンなどが含まれます。

ヘロインもオピオイドの一種です。あの立ったまま前かがみでいるゾンビ状態はとても筋力が必要で体がしびれたり筋肉痛になりそうなものですが、痛みは消えている状態なので中毒者たちはそれほど気にしていないのかもしれません。

ヘロインのようなオピオイドは、脳や脊髄の特定の受容体に結合することにより、痛覚の認知を減少させるだけでなく、呼吸や循環器系の活動を低下させることも引き起こします。

呼吸活動の低下は、血液や脳内の酸素濃度の低下を引き起こすことがあり、眠気、混乱、筋肉の弛緩につながり、人が前かがみに見えたり、「うとうとしている」状態になることがあります。

そしてオピオイド使用は姿勢を制御する筋肉の活動の低下を引き起こすことがあるため、人が直立姿勢を維持するのが困難になることがあります。

それならせめて体に負担をかけないように座ってやればいいのにと思ってしまいます。

立った状態でヘロインを打つと前かがみのゾンビ状態になる

Quoraに元ヘロイン中毒者の方がいて解説されていました。

「元ヘロイン/オピオイド中毒者である私は、「中毒者がなぜ立ったまま前かがみでいるのか」という疑問ににほぼ99%の確率で答えることができます。

猫背になっている人たちは、ヘロインの影響下にあります。また、ベンゾジアゼピン系薬剤を服用している可能性もあります。なぜならそれらはヘロインの効果を増強させるからです。

ストリートでは、猫背になる原因を俗語で「dope fiend lean」と呼んでいます。ヘロインによる猫背の原因は、ヘロインが重度の呼吸抑制を引き起こすことにあります。

この呼吸抑制と、ヘロイン使用時に脳内で起こるさまざまなメカニズムによって、居眠りをするようになります。

居眠りとは、制御不能で自動的に起きる反応であり、影響下において、意識ある使用者を強制的に眠りにつかせます。

このとき、立っている人は、起きている状態で眠りについていることになります。ただ倒れるのではなく、前かがみになるのは、まだ半覚醒状態だからです。そのため、立っているための力は残っているのです。」

薬物を入手したら間髪を入れずすぐに打ちたい中毒者

フィラデルフィアのケンジントンもそうですが、麻薬中毒者があまりに多く捕まえてもきりがない場合もしくは、刑務所、収容所がキャパオーバーになっている地域では警察は中毒者の取締をしなくなります。

麻薬の売人は中毒者ほど人数が多くなく、元を断つことにもなるので警察は捕まえますが、中毒者の場合例え注射針を腕に刺している現場を警官に目撃されてもそのような地域では逮捕されません。

そうなると安全で他人の目に触れない場所まで移動しなくとも、薬を買ったその場で注射することができます。だから立った状態で打ち、前かがみゾンビになるのだと考えられます。

食べ物を買うお金も薬に使ってしまう

空腹も薬物使用で凌ぐことができるので食料よりもドラッグを優先してしまうのが末期の中毒者です。

こうなるともう死んでも良いと覚悟している方も多いです。どのみち職もなければ家もありません。安く簡単に手に入り、お咎めもないのなら私だって100%やります。

麻薬のみでただただ死を待つアフガニスタンの橋の下にいる人々

今この瞬間だけでもつらい気持ちから解放されたいと思うのは当然です。

麻薬に溺れる人の全てが悪人で凶暴なわけではありません。リストラや経済苦などがきっかけで麻薬に手を出してしまった結果ゾンビになってしまった人も大勢います。

日本でも東横キッズや大阪のグリしたキッズが市販薬のオーバードーズをしています。海外ほど麻薬が簡単に入手できませんが、工夫して何らかの麻薬的効果を得たいと思うほど苦しい人々が日本にもいます。

本当にどうにかならないものでしょうか。私達は彼らのために何ができるでしょうか。