借金苦でカンボジアの両替所を襲おうとした日本人青年二人と日本社会の格差と闇

2019年3月20日

経済成長が著しいカンボジアのドルを狙った犯罪

1970年代のポルポト政権下で徹底した焚書坑儒で200万人近くもの人々が虐殺され、教育が根付かない国になりさがりアジア最貧国の一角として長らくカンボジアは淀んできました。

しかし、人件費の安さから脱チャイナする世界の企業から目をつけられ、ラストフロンティアなどとも呼ばれここ10年で急激に成長してきました。

といってもカンボジアの一人当たりGDPは1600ドル程度とまだまだ低く後発開発途上国の一つです。(開発途上国のなかでも遅れている国)

カンボジア、ラオス、ミャンマーはCLM諸国と呼ばれ今後の経済成長も注視されています。

それでも現地通貨リエルは国内でも国外でも信用性がなく、カンボジア国内ではドルが広く流通しています。

カンボジアで逮捕された2人の青年(二人とも23歳)はここに着目し日本で計画してタイ経由でカンボジアに入国したとのことです。

犯行が行われた都市シェムリアップ(Siem Reap)

トラベルブロガーのMitchell Mingoranceさんの動画です。

クメールルージュの知識階級虐殺の歴史などに軽く触れた後、水祭りの様子、(タイの旧正月の水掛祭りソンクラーンが有名ですが、カンボジアにもあります)外国人旅行者のための高級スパ、夜にぎわうPUB STREET(パブストリート)、地元のマーケット、アンコールワットなどの様子が10分間で楽しめます。

アンコールワットはシェムリアップにあるため多くの観光客がこの町に世界中からやってくるわけですが、元自衛官の日本人の若者二人がタクシーの運転手を殺害したのもこの地です。

日本人の質が低下しているのは勿論経済格差のせいでもある

二人で総額400万円の借金があり、海外で盗みを働いてその返済に充てようという突拍子もない行動のようにみえます。

実際は一発逆転を狙っての麻薬の運び屋だったのではないでしょうか。追い詰められていたことは間違いないでしょう。

犯罪を正当化するわけでは決してありませんが、日本人も諸外国並みに切羽詰った人が増えているような気がします。

若者が悪いのではありません。真面目な若者が大半です。ですがその親が貧困に喘いでいる場合、子供の借金の肩代わりなどできませんから犯罪でもなんでもして返そうとしてしまう人もいるのだと思います。

低賃金肉体労働と派遣労働、ブラック企業にしか働き口がありません。そのうちそれら周辺の仕事は外国人に奪われます。

物品を奪うために人の命を殺めるなどということは平和ではない諸外国ではいたって普通に起きることです。ヨーロッパでもアメリカでも毎日起きています。

どん底にいる者は他人から奪って生き残ろうとします。

タイでもカンボジアでもベトナムでもフィリピンでも行き詰まって破綻しホームレス寸前でサバイブしている日本人はいます。

例えば現地のコールセンターで働いている日本人で仕事が嫌になり辞めると、ビザの関係で簡単に次の仕事が見つからなかったりします。

日本に帰ってもまともな仕事がないため貯金があれば居座り、不良日本人と手を組み詐欺などの犯罪行為を働くものもいます。

犯罪歴があったり、職業能力が低く日本で思うように生活できなかったりすると海外に活路を求める傾向が20年前とかと比べるととんでもなく増えています。

きちんとした教育を受けていないからこそ犯罪に走ったり就職できなかったりするわけですが、教育を受けられないのは格差社会の最大のデメリットです。

国内であっても先日のアポ電殺人のようにお金ほしさで人を殺すような人がどんどん増えてくるのでしょうね。これに外国人が流入してくるともっと酷い情況になるでしょう。

自衛隊はスキルのない若者のセーフティーネットなのか

神奈川県にある陸上自衛隊高等工科学校に入学すれば15歳から特別職国家公務員となれ、授業料や宿舎費が無料の上月額94900円の給料も支給されます。

高卒者も健康であれば誰でも入れるレベルです。辞めずに一生いられれば公務員なので安定しています。

立派な自衛官の方が大勢いらっしゃることは知っていますが、それでも自衛隊では24時間行動を制限され、独身であれば共同生活をしいられプライバシーもなくパワハラいじめの巣窟で今の若い人たちが耐えられる場所ではないようです。昔でもそうかもしれませんが。

ですから早い段階で辞めていくのですが、何のスキルもないため次の就職先が見つかりにくくふらふら不良をしていると今回の二人の若者のようなことになってもおかしくないように思います。

勉強は嫌いだし実家に大学進学のお金もない。だからお金も貰えるし体力に多少自信がある程度の理由で入ると後悔することになるでしょうね。

この容疑者二人も自衛隊に入っていなかったらこのような犯罪を犯さなかったかもしれません。

自衛隊が悪いわけではないかもしれませんが、国を守るという素晴らしい任務なのですから、若者にやりがいをもたせ離職率を低くする努力は必要ではないでしょうか。

日本人に殺害されたら遺族に沢山お金が入ると勘違いさせてはいけない。

亡くなったカンボジアのタクシーの運転手さんやその家族の方には本当に申し訳ないと思います。

ですが、このニュースを受けてこの二人を死刑にせよだとか、カンボジアの人々に謝罪したいなどという日本人の方の反応に戸惑ってしまいます。

またこの被害者の方にカンボジアでサッカーチームをもつ日本人オーナーが遺族に1000ドル寄付の意思を表明したり、そのほかにも色々寄付の話が浮上しているのを見ると問題だなと思います。

これは災害などではないのでやりすぎだと感じるのです。

もっと突っ込んで言うと日本人に殺されたらお金がいっぱい貰えるから日本人を殺人者に仕立て上げてお金を引っ張ろう!という詐欺行為を現地の人に誘発させてしまうかもしれません。

貧しい国と付き合うときはそれくらいの配慮が必要です。

もう好き嫌いは関係なく世界とつきあっていかなければいけない時代に突入しています。日本人のお人よし根性は他国に付け入られて身を滅ぼすことになりかねません。適切な国際感覚を身にまといたいものです。

この若者たちを死刑にしろ!と騒ぐのではなく、どのような背景でこの若者たちが殺人者になったのか、社会に問題はなかったのか等を議論すべきです。