犯罪者から学ぶお金のボロ儲けの仕方~プロ野球選手のサイン入りグッズで億稼いだ男

2020年6月24日

アメリカでプロスポーツ選手のサイン入りグッズを偽造して販売していた男

彼の名はウェイン・ブレイ(Wayne Bray)。

アメリカはカリフォルニア州のサンディエゴ郊外の中流階級の家庭で育ちました。

ベースボールの熱狂的ファンで25年間保護観察官を勤め上げたウェインの父親は早期退職してスポーツカードを販売する会社を立ち上げました。

違法行為とドラッグに明け暮れていた若い日々

父親とは正反対でスポーツには何の興味もなかったウェインでした。父が法執行官であったにも関わらず悪い仲間とつるみ、法に触れるような行為を繰り返していました。

ドラッグにもどっぷり3,4年浸かっていました。見かねた父親は薬物依存更生施設に彼を送ります。

薬物中毒の息子に訪れたターニングポイント

薬物依存更生施設で薬を抜いた生活が1ヶ月ほど続いた頃母親から連絡がありました。

父親が心臓発作で倒れたため戻ってきてスポーツカードショップを継いで欲しいとのことです。

興味のなかった仕事でしたが、父のために仕方なく、そして忙しくしていたためドラッグに再び溺れることもありませんでした。

そして父の病状が良くなり仕事に復帰できるようになると、ウェインは同じような店を独立して持つことになります。父の庇護の元に生きるのが嫌だったのです。

父から独立して自分のトレーディングカードショップを経営

※イメージです。実際のウェインの店ではありません。

カードに加えポスターや様々なスポーツ関連の記念品も販売していたのですが、売れ行きは芳しくありませんでした。

その理由の一つとして客が「スター選手のサイン入りのものがあれば買うんだけどな」という発言を多く耳にしたのです。

時代は1994年、タイミングも悪かったのです。史上最長のMJB(メジャーリーグベースボール)のストライキが勃発したのです。

1994~1995年のメジャーリーグストライキの影響

選手の年俸を抑えるためのルールが出来たため、メジャーリーグでは1994年8月から1995年の4月の長期に渡りストライキに入りました。

シーズンの公式戦が900試合近く中止になり1994年のワールドシリーズも開催されませんでした。

選手の法外な年俸を払うのが苦しい球団側と高給よこせという選手側の騒動を見ていてファンは離れていってしまいました。

それに比例してウェインのお店も益々立ち行かなくなっていきます。

ひらめいた!スターの偽造サイン入りグッズを売ろう!

※ベーブ・ルースの偽造サイン入りボール

ビジネス下降中のウェインが考えたのは偽造サイン入りグッズの製造販売です。

というのもニューヨーク・ヤンキースで活躍したミッキー・マントルのサインをそっくりに真似るグレッグ・モレノと知り合ったからです。

ミッキー・マントルは1995年8月に亡くなっており、彼のサイン入りグッズの価値が高騰するのは分かっていました。

ウェインはニュージャージー州の取引業者に電話し、ミッキー・マントルのサイン入りグッズが無制限にあることを伝えました。

そしてその業者はミッキー・マントル氏が死亡したその日に300万円分のグッズの発注をFAXでよこしました。

偽造犯罪者ウェインの誕生です。

ミッキー・マントル以外の選手のサインもどんどん偽造

ニュージャージー州の業者はウェインの偽グッズを受け取り即完売し、他ののスターのグッズもないのか問い合わせてきました。

これによりニーズを確信しグレッグと組んで本格的にスポーツスターのサイン偽造に取り掛かります。

偽造する前に本物のサインを集めて徹底的に練習

いかに本物に似せるかにこだわっていたウェインは偽造の前に本物のサインコレクションをインターネットで集めました。

標的が定まるとその画像をプリントアウトしグレッグに渡します。そしてグレッグはサインの練習をし始めます。

3,4日練習してもウェインが満足しない限りずっとグレッグは練習させられました。

この繰り返しによりグレッグのサイン偽造技術も飛躍的に伸びることになります。対象選手も野球だけではなくバスケットボールやアイスホッケーなど他のスポーツにも手を広げていきました。

そして週に数千点のグッズを捌くようになります。

一個100万円の偽ベーブ・ルースサイン入りボールの作り方

ベーブ・ルースのサイン入りボールは市場に多く出回っておらず1個100万円と高値で取引されていたためウェンもその製造に乗り出します。

まず新しいボールを購入してきてスタンプされている文字を削り、ベーブ・ルースが野球をしていた時代のKenesaw Landis Commissioner(MLB初代コミッショナーの名前)のスタンプを押します。

次はエイジング処理です。庭先で泥にまみれさせます。その後ホットドック焼き機の上にボールを並べ焼き上げます。

ベーブ・ルースのサインに使うペンはインクも含めて彼が活躍していた当時のものにこだわって試行錯誤しました。

そしてグレッグにサインを書いてもらい外で日光にあてラインを色褪せさせます。

そして当時のファンはサインボールを良い状態で保存するためにシュラックという天然樹脂をコーティングしていたので、シュラックコーティングも施します。

匂いの問題があります。そのままだと新品ボールの匂いがまだします。

袋の中にボールとともに殺虫剤とドッグフードを入れて2,3日放置すると新品の匂いをうまく消すことができました。

本物であることを証明する会社を自ら作った

いかにそれが本物に見えても証明書がなければただのボールのままで無価値です。

ウェインはジョー・ディマジオの親戚であるジェームズ・ディマジオ氏を雇入れ証明書に彼の名前をサインさせました。

親戚とは言えレストラン経営をしていてスポーツの世界に何の関わりもないジェームズでしたが、証明書に書くディマジオの名前は広く国民に知れ渡っており権威性をアピールするのに十分な役割を果たしました。

この証明書のおかげで一個100万円するボールが飛ぶように売れました。

億単位で稼いでいきますが、車やバイク、酒に女と使いっぷりも半端ないものでした。

しかし稼げば稼ぐほどそのうち捕まるとウェインは心配になってきます。市場に出回りすぎるとおかしいと人はすぐ気づくからです。

一時的に儲けてもいつか終わりが来る

ウェインは賢かったのですが、相棒のグレッグはあまり賢くなく、お金の匂いを嗅ぎつけたグレッグの両親が俺らも仲間に入れろと割り込んできます。

子供の犯罪は止めるのが親の役目だと思うのですが、、、。

そのうちFBIも動き出し、アジトの電話を盗聴されたり潜入捜査官が送り込まれたりします。

そして自らが捜査対象になっていると危険を察知したウェインは元捜査官を雇FBIがどれくらい自分のことを調べているか調査依頼しました。

3日後の調査結果はFBIは全て知っていて今も見張られているというものでした。

この時彼は自首を決意します。でもその前に父親に全てを打ち明けました。父は自首して全てやり直すと良いとアドバイスをくれます。さすが元役人。グレッグの両親とは大違いです。

罪を軽くすることを条件にウェインは関係者全てを売りました。グレッグは6年間の服役。グレッグの両親は執行猶予付きの実刑なし。首謀者のウェインはたったの6ヶ月の服役でした。

最初に自首して協力したものが一番得をします。

2001年に釈放されたウェインはまともな仕事をして生活しているようです。

景気の良い時はあっても、それが永遠に続くことはまずありません。ですから我々ができる防衛方法というのは、ちょっと稼げた時に生活レベルを上げないことです。

年収1000万円だろうが2000万円だろうが貯金がゼロ円の人々が一定数存在しますが、彼らはちょっと何かが狂ったら奈落の底に落とされる可能性が大です。

このストーリーから学んだことは、一つのことで長く儲けることは大変難しいこと。そしてその引き際が肝心であることです。

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