シアトルの治安が激烈に悪化している件は麻薬所持で捕まらなくなったから?

2020年6月16日

エメラルドシティーと呼ばれているシアトル中心部にホームレスが増殖

ランドマークである高さ184メートルのスペースニードル、背景に聳えるマウントーニア、美しいピュージェット湾、ワシントン湖、イチロー選手も所属していたシアトルマリナーズ。

有名所の世界的コーヒーチェーンであるスターバックス、タリーズ、シアトルズベストコーヒーを産んだ土地シアトル。

世界の大企業もこの地を源泉としています。古くはボーイング社から比較的新しいもので言えばビル・ゲイツのマイクロソフト社、ジェフ・ベゾスのアマゾン、コストコ、百貨店ノードストロームなどがあります。

エメラルドシティーと言ってもオズの魔法使いが住んでいる本物の宝石のエメラルドが使われていたり採れたりするわけでは勿論なく、シアトルは緑多い自然に恵まれエメラルドシティーと呼ばれています。

常緑樹(evergreen)が多く下の画像のように冬でも緑を楽しむことができます。

この美しい街シアトルのあるキングカウンティーでホームレスの数2010年頃に約9000名であったものが2019年には約12000名と約10年間で3割ほど増えました。

ホームレスの多くは麻薬中毒者であり、子供たちが遊ぶ公園や芝生にも使用済みの注射器が転がっているので危険極まりないです。

ダウンタウンシアトルのホームレス

街のど真ん中にホームレスがテントを立てて生活しています。向かいのビルはオフィスビルのポールソンビル。ダウンタウンシアトル・パイオニアスクエアです。

観光客がバリバリ通るストリートでテントが散見されるのです。この光景は海外から来た観光客だけではなく、アメリカ国内からくる旅行者をも仰天させています。

現在シアトルがこのような状況にあることを知らないアメリカ人も多いのです。

ダウンタウン・ロサンゼルスのホームレステントは有名

ロサンゼルス市内のホームレスの数は2019年時点で3万5000人を超えているのでシアトルのキングカウンティー全体の12000人を凌駕しています。

ロサンゼルスのダウンタウンにあるスキッドロウ(どや街の意)のストリート両脇にはテントが多く並んでいます。すぐとなりにはリトル東京があり、観光客が迷い込むと犯罪に巻き込まれます。

シアトルのホームレス問題げ年々悪化していることを伝える動画

日本の精神疾患患者数は認知症、うつ病、統合失調症など全て含めて400万人程度と見られています。

一方米国では、アメリカ国立精神衛生研究所によりますと成人男性の5人に1人は何らかの精神疾患に悩まされておりその数は2017年時点で4600万人いるとのことです。

ですから何の援助も受けられないでいる精神病患者がストリートに放り出されているケースも上の動画にもあるように一定数存在しています。

日中堂々と麻薬を売っていたり、薬物を使用していても警察は何もしないといいます。

それは一体なぜでしょうか?

シアトルの警察はなぜ薬物がらみの犯罪を取り締まらないのか

それは2018年の9月にキングカウンティーの検察官であるDan Satterberg氏が麻薬所持に対する起訴の条件を変更したからです。

Danは自身の妹が麻薬中毒者であった経験から中毒者を単に逮捕して刑務所に入れても何も変わらないことに気が付きます。

そして犯罪者としてより麻薬中毒患者として扱いそのサポートに徹する方が社会のためになると考えました。

2011年にDanはLEADというプログラムを開始しました。暴力的ではなく助けを求めている麻薬中毒者を逮捕せずに薬物依存から立ち直らせるための施設に収容することが目的です。

結果普通に捕まった人と比べて再犯率が58%低かったり、職業訓練や実際に就職する率が46%高かったりとなかなかの成果を上げました。

そこで2018年、全米でも初めての試みであるヘロイン、コカインを含む全ての違法薬物の所持(1gまで)では逮捕されなくなりました(麻薬を売る行為は捕まります)。

全米で麻薬の過剰摂取による死者数は毎年7万人を上回っており、その数はベトナム戦争(約58000人)、アフガン紛争(約2500人)、イラク戦争(約4500人)の死者数の合計6万5000人を超えています。

そしてアメリカでは200万人以上の子供が薬物依存にある親と暮らしているという現実があります。

薬物所持で逮捕されなくなり街がホームレスであふれ汚くなった

高架道路の下はホームレスキャンプができやすい。

一昔前のシアトルの中心街にはホームレスはいなかった。

道端で薬物を乱用しようが立ち小便をしようが捕まりません。ですから街の至るところで小便の臭いが立ちこめ、州外から来た観光客が額に皺を寄せています。「俺達の街でならすぐに警察に捕まるけどな!」と。

薬物で錯乱して暴れていたりすると警察は来ますが、大丈夫か声をかけたりなだめたりするだけです。

麻薬欲しさの犯罪も増えていますので、助かる見込みのない頭が完全にいかれてしまっている者は逮捕して欲しいと願う人も多いです。

特に自分は麻薬とは無縁の真面目な人々は綺麗な街を取り戻したく、ジャンキーがうろついている街から逃げ出す人もいます。

長い目で見ると麻薬対策として有効であることが実証される可能性あり

真面目な人たちからは市議会は無能だとか警察の存在意義がないなどとボロクソに言われています。

しかしこれだけ全米が麻薬で汚染されている以上、見てみぬフリはできませんし、いつ自分や子供達にドラッグの危険が及ぶかわかりません。

この中毒患者を豚箱に入れるのではなく施設に入れて治療し社会復帰の手助けをするという大胆な試みは全米から注目されています。

ドキュメンタリー:死につつあるシアトル

シアトルのKOMO NEWSが作った1時間のドキュメント番組です。この記事作成に利用しました。

私自身も訪れたことのある街シアトルが今はこんな風になっているなんて大変ショックでした。

しかし麻薬問題に真剣に取り組む一つの方策の短期的な結果としてこのような事態に貧しているのです。

米国オピオイド危機・フェンタニルは中国からメキシコ経由でアメリカのストリートにばらまかれている

フェンタニルは麻酔や鎮痛に使われる合成オピオイドですが、近年アメリカで爆発的に薬物乱用されています。

フェンタニルの効果はヘロインの50倍以上ですがカルテルにとって製造が簡単であり安く提供できるため大量に出回ってアメリカを蝕んでいます。

ヘロインだと思って買って(混ぜてある場合もある)ヘロインと同量打ってしまうと即死ということもままあり、OD(オーバードーズ)で死ぬ人がフェンタニルによって近年激増しています。

ヘロインやコカインに少量フェンタニルを混ぜることで中毒症状がさらに出て稼ぎが大きくなるため麻薬カルテルはフェンタニルを好んで扱うといいます。

ODの死者が年間7万人を初めて超えたのは2017年ですが、これもフェンタニルの影響であると言われています。フェンタニル乱用の半数はODで死ぬと言われており、死者7万人の中のかなりの人数がそうではないかと推測されています。

フェンタニルはコロナウイルスのグラウンド・ゼロとなった武漢の工場で作られてメキシコに密輸されそこからアメリカに渡るルートが一番大きいものです。

換言すれば中国は麻薬戦争で完全にアメリカを打ち負かしています。

トランプ大統領は2018年12月にアルゼンチンで行われた米中首脳会談で習近平にフェンタニルを取り締まることを約束させましたが、2019年8月の段階でも約束は守られず多くの国民が死んでいると発言しました。

勿論中国側は国家ぐるみでフェンタニルをアメリカに密輸しているわけではないでしょうが、結果として米国を弱体化させるのに成功しています。

コロナウイルスの影響でフェンタニルの流通も中国からストップしているようなのでこの機会に撲滅できることを望みます。

しかし例え薬物依存から抜け出せたとしても社会復帰して仕事を得られる保証は何もないどころか、ドラッグをやっていない普通の人も仕事を見るけることが難しいアメリカ。麻薬に逃げたくなる社会をまず変えなければなりません。

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