アメリカのデラウェア州はタックスヘイブン!?法人企業が集中する理由
稼いだ者は稼がしてもらった地域に還元しないといけません。しかし国内にタックスヘイブンがあり大企業が税逃れできる環境にあるアメリカで格差が広がるのは当然と言えます。
面積がビリから2番目なのに企業数が100万社もあるデラウェア州
デラウェアと聞いて日本人の私たちが真っ先に思い浮かべるのはぶどうのデラウェア種ですが、これはオハイオ州のデラウェア市に由来しており、デラウェア州とは関係がありません。
ややこしいですね。
面積が小さい方から数えるとロードアイランド州の次にあがるデラウェア州の大きさは栃木県と同じくらいだそうです。
そんな栃木県と同じ面積の州に企業がなんと100万社もあります。
ちなみに日本全体で400万社、東京は25万社ほどです。
デラウェア州の人口は2017年で96万人となっています。つまり人口よりも会社の数の方が多いという異常性がこの小さな州にはあります。
それはペーパーカンパニーがいかに多いかを示しています。
デラウェア州に本社を置くアメリカの有名企業
世界第2位の化学メーカーデュポン(DuPont)。死の商人デュポンの記事はこちらです。
ケマーズカンパニー(Chemours Company)
2015年にデュポンから独立した化学会社。
ナビエント・コーポレーション(Navient Corporation)
全米の学生ローンの25%を扱う会社。この悪徳企業は違法に学生から必要以上の金利を取り借り手の学生を騙しているとしてCFPB(米国消費者金融保護局)から訴えられています。
21st Century Insurance
自動車保険会社。親会社はFarmers Insurance Group でその親会社はスイスのZurich Insurance Groupになります。
これらの会社は元々デラウェア州とゆかりのない会社なので税金逃れのために本部を設置していると言えます。
デラウェア州の法人税率が非常に安くて企業に魅力的
デラウェア州の法人税は税率が8%台と業種によって異なりますが大変低い税率を導入しています。
因みに日本の法人税の実効税率は29%台となっております。
アメリカの連邦法人税率は2018年に35%から21%に引き下げられました。フランスも2022年には現行の33%から25%まで下げるといっています。
シンガポールの法人税は17%ですが、法人税の合計の20%が免除とされるなど優遇措置があるために実行税率は10%台前半と思われます。
グローバル企業誘致の為に各国は法人税引き下げ合戦をしているようです。
それでもデラウェア州の法人税率は10%にもいっておらずべらぼうに安いといえます。
フォーチュン500にリストアップされている企業の6割が本社を置く
アメリカタイム社が出している世界最大のビジネス誌フォーチュンの全米企業格付けであるフォーチュン500に載っている企業の6割が本社をデラウェア州に置いています。
デラウェア州の会社法が企業に有利に働いています。
そしてデラウェア州の大法官府裁判所(court of chancery)が企業が抱える係争を100年以上で蓄積した先例をもとに迅速かつ企業有利に判決してくれます。
プラスして企業買収などの手続きも簡単というメリットもあります。
スイスの銀行より秘匿性が高く保てる
スイスの銀行は2017年の1月から、顧客情報を外国政府と共有するようになりました。
企業がグローバル化する一方で犯罪も確実にグローバル化していますからマネーロンダリングやアングラマネーの巣窟となることをスイスの銀行は辞めることにしたわけです。各国からの圧力も大きかったことでしょう。
デラウェア州で法人を設立する場合、代理人で申請できます。
代理人は同州に住んでいる個人でもできるので、その人にお金を幾ばくか握らせて設立すれば、設立者本人の個人情報は流出しません。
アメリカ財務省の特別捜査官もアングラマネーの行き先がデラウェア州、ネバダ州、ワイオミング州などに流れ込むと個人が特定できないため捜査が行き詰まることが多いと2013年のニューヨークタイムズで述べています。
今回はデラウェア州をメインに取り上げていますが、ネバダ州やワイオミング州も企業に対して有利な税制を実施しています。
2002年にWブッシュ大統領が一般教書演説でイラン、イラク、北朝鮮などを悪の枢軸国と名指ししましたが、アメリカこそ悪の枢軸国だと金融リテラは考えています。
国内本土にタックスヘイブンがあるなんて極悪マネロン国家です!マフィアマネーや麻薬マネーもマネロン国内でし放題。
デラウェア州は消費税のない数少ない州
消費税の無い州は全米50州のうち4つしかありません。
デラウェアのほかはニューハンプシャー州、モンタナ州、オレゴン州です。
西海岸オレゴン州の上はワシントン州です。ワシントン州は州の所得税がありません。ですから、オレゴンと州境のワシントン州に住み、買い物はオレゴン州ですると税金をほとんど払わずに住むという誰もが羨ましい生活ができることになります。(国の所得税は払わないといけない)
ワシントン州でも食品の消費税はありませんから、食品以外の商品を買うときはオレゴンがいいですね。
イオンのように20.30日5%オフではなく、ワシントン州の人がオレゴンで買い物をすれば、食品以外はエブリデー8%オフくらいなお得さです。
デラウェア州会社設立業者もネットにはある
個人法人を問わずにアメリカで会社を設立するための代行会社が多数見つかります。
ネットは便利ですが、信頼のできる業者もしくは専門家に相談したいところです。
EUが名指しで批判した世界のタックスヘイブン一覧
地図はEUが2017年に発表したものです。
このブラックリストに入っているのは中南米がパナマ、グレナダ(イギリス連邦加盟国)、トリニダード・トバゴ、セントルシア(イギリス連邦加盟国)
アフリカ・中東がチュニジア、ナミビア(一部旧英国植民地)バーレーン、UAE
アジアでモンゴル、マカオ、韓国、パラオ(旧米国信託統治国)、グアム(米国海外領土)、マーシャル諸島(旧米国信託統治国)、サモア(イギリス連邦加盟国)、アメリカ領サモア
英国領土ではケイマン諸島、バミューダ諸島、マン島、ジャージー、ガーンジー
英国と米国が関係している国が大多数です。
アジアでは韓国が入っておりハテナ?な印象ですが、韓国政府は例によって猛反発したそうです。
EUタックスヘイブンリストには入っていませんがエプスタイン事件で取り沙汰されたヴァージン諸島も世界的に有名です。
税金のことをもっと勉強しましょう
お金はあの世へ持っていけるわけではありません。ですから払うべきものは払ったほうがいいですね。
税金もきちんと社会のために使われるのであれば多く支払う人も納得できます。
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学んでお金儲けが充分できたなら、社会貢献もすべきです。その過程で心が豊かになり真に幸せだと感じられるのでしょう、人間という生き物は。
人の生き血を吸って膨大な利益を未来永劫稼ぎ続けることはできません。資本主義の終わりも近づいているようです。