アメリカデュポン財閥。一族の資産と家系図。死の商人の悲劇。汚れた金持ちのなり方

アメリカデュポン財閥。一族の資産と家系図。死の商人の悲劇。汚れた金持ちのなり方

上の画像は血に染まるデュポン社のロゴです。

人の生き血を吸って巨大になった超財閥デュポン家のブラッディレッドな過去から現在までの変遷を一緒に見てみましょう。怒りがふつふつと沸いてきます。

普通の金持ちではなく世界でも有名な超富裕層は多かれ少なかれこのようなダークな面があるのかもしれません。

死の商人として繁栄したデュポン家のなりたち

戦争がなくならないのは世界で一番儲かるビジネスだからというのは周知の事実ですが、デュポン家もかつて死の商人と呼ばれ資産を莫大なものとしてきました。

フォーブスによるデュポン家の資産額は2016年の時点で143億ドルでした。日本円で約1.4兆円。

日本で言うとファーストリテイリングの柳井氏(1.5兆円)とソフトバンクの孫氏(1.2兆円)の間です。

この庶民から、そして私ワープア太郎から見ると天文学的資産額はこの男の亡命からはじまったということができます。

ルイ16世に仕えたピエール・サミュエル・デュポン・ド・ヌムール

デュポン家の祖ピエール=サミュエル・デュ・ポンはフランス革命時の政治家。聖職者や貴族を保護し平民から税金を取り捲っていたルイ16世側につき、平民から憎まれていました。

ド・ヌムールの爵位はルイ16世から与えられました。

ルイ16世とマリーアントワネット処刑後に政治の実権を握ったのは恐怖政治で悪名高いロベスピエールです。

彼は4万人ほど処刑したのですが、そのリストの中にピエール=サミュエル・デュ・ポンも含まれていました。

しかしロベスピエール率いるジャコバン派に反する勢力がテルミドールクーデターでロベスピエールを処刑します。

よってピエール・デュ・ポンは自身の処刑を免れました。

フランス革命でブルボン絶対王政は倒され共和制に移行、封建制が崩れ貴族の財産も脅かされたわけです。

フランスの多くの貴族が他国に亡命することとなります。

ピエールデュポンは処刑回避からすぐに家族と一緒にアメリカに亡命しました。

竹中平蔵は奴隷商人

アメリカ亡命後化学者の三男がデュポン社を設立した

ピエールの三男エルテール・イレネー・デュポンです。

亡命前はフランスで化学者でした。一緒に研究したりして知恵を授かっていたのが同じ貴族のアントワーヌ・ラヴォアジエ。

ラヴォアジエは質量保存の法則を発見した人物で近代化学の父とも呼ばれていて有名ですね。彼はピエールの友達だったのです。

ラボアジエは超裕福で莫大な資産をもつ貴族であったにも関わらず、実験に使う機材や薬品の調達は「徴税請負人」という仕事で得る金で賄いました。

その仕事は今で言うサラ金、闇金の取立てのようなものでしょうか。

貴族なので自らの手は汚さず、ヤクザ連中でも雇って苦しむ市民からお金を毟り取ったのでしょう。時に規定額より多く徴収してポケットに入れて成り上がった極悪貴族もいるといいます。

イギリスの借金取り立て強面業者の話

ラボアジエは現代の化学の教科書に載る人ですが、市民から忌み嫌われフランス革命時には革命政府によってギロチン処刑されています。

そんなラボアジエと師弟関係だったデュポン家三男エルテール。人殺し(戦争)のための火薬で財をなすこととなります。

火薬製造がデュポン社の嚆矢

父とともにフランスから逃れてきたエルテールはアメリカ製の火薬が高価であるにも関わらず粗悪な点に注目します。

一家の拠点はデラウェア州にありましたが、そこである日エルテールはルイスという男とハンティングに行きました。

その男はフランスで砲兵仕官をしており、アメリカ陸軍に招かれ火薬生産を任されていたのでした。

エルテールはルイスに頼んで火薬工場を視察することができました。

結果、火薬の材料である硝石の品質が問題ではなく精製過程に問題があることが分かり、父から資金を借りてサクッと工場を立てアメリカの火薬の質を以前と比べて格段に押し上げました。

まさに機を見るに敏で大もうけします。

庶民にはひらめきがあったとしてもそれをすぐに具現化する財源がありません。しかし行動だけは思いついたらすぐできるように訓練しておきたいものですね。

黒色火薬からはじめ、ダイナマイト、無煙火薬など、どんどん改良しアメリカ南北戦争(1861~1965年)、第一次世界大戦、第二次世界大戦と濡れ手に粟のぼろ儲けをします。

その後は工業用のポリマーを数多く開発。近年では農業にも進出し遺伝子組み換え農産物や殺虫剤、除草剤分野でも手堅く立ち回っています。

遺伝子組み換え作物の種で悪事を働いている多国籍バイオ化学メーカーモンサント社とライセンス契約もしていました。

モンサント社は2018年6月にドイツの製薬会社バイエルに買収されてしまいましたけれど。ラウンドアップの健康被害訴訟はモンサントから受け継いでいるようです。ろくな会社じゃありません。

原爆の製造にも関わっていたデュポン社

デュポン社自体は原爆を直接製造したわけではありませんが、第二次世界大戦中にアメリカ政府と協力して原子爆弾の開発に関わっていました。

具体的には、デュポン社は原爆用ウランの製造に関与していました。1943年にデュポン社は、アメリカ政府から原爆用ウランの製造に関する契約を受け、テネシー州にあるオークリッジ国立研究所(マンハッタン計画のために作られた)で、ウラン濃縮のためのガス拡散法プラントを建設しました。

1945 年の広島と長崎への連合軍の攻撃で使用される最初の原子爆弾の製造を支援しました。

デュポン一族から殺人鬼がでた!映画にもなったジョン・デュポン

事実に基づいて作られた映画フォックスキャッチャー(2014年アメリカ・ベネット・ミラー監督)。

デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンは莫大な資産を持っていたため、大学卒業後は鳥類学者として優雅に旅行。慈善事業やスポーツ振興の活動をしていました。

仕事をしなくても食うに全く困らないので好きなことをして暮らせたのです。貴族というものはそういうものなのです。日本のニートの方もそれで生計が成り立っているのであれば貴族という言い方もできると誰かが言っていました。

私ワープア太郎は鳥貴族にさえ行けない貧乏人であります。

ジョンは自身が所有する農場(フォックスキャッチャー農場)にレスリング場も建設し、レスリング選手に開放していました。

そこでの指導者として迎え入れたロサンゼルスオリンピックのレスリング金メダリスト、マーク・シュルツ氏の兄デイブシュルツ氏を1996年に射殺しました。

お金持ちで由緒ある家系でも子育ての悩みはいつも尽きません。

必ずろくでもない人間がでてくるからです。英語では”black sheep of the family”といいますね。

ジョン・デュポンもお金はありますが中身のない典型的ダメ人間に映画の中では描かれています。

ダウケミカルと合併して世界最大の化学メーカーダウ・デュポンとなる

100年の歴史をもつダウケミカルと200年の歴史をもつデュポンが2017年に合併し世界最大の化学メーカーになりました。

全米のトウモロコシと大豆の種のシェアを40%、そして全世界の殺虫剤のシェアを17%と拡大させました。

2016年、デュポン社はテフロンを作る際にでる発がん物質である化学物質をオハイオ川に垂れ流し住民の飲料水を汚染させウエストバージニア州とオハイオ州の住民から3500件を超える訴訟を起こされ裁判で破れ損害賠償金支払い命令を出されました。

かれこれ30年ほど汚染し続けていたようです。

両者共環境破壊と人々の健康を害している悪徳企業として名高いです。

2つの巨大企業の合併で税金逃れから価格の吊り上げまで組織的な犯罪行為が加速すると見ているジャーナリストもいます。

弁護士で作家、ラジオのトークショーの司会をしているマイク・パパントニオ氏は悪徳企業と悪徳企業がお互いに惹かれあい合併して利益を貪るために更なる企業犯罪を積み重ねるだろうと言っています。

ライターのSTデュポンとは何の関係もない

フランスのST(エステー)デュポン社はシモン・ティソ・デュポン(Simon Tissot Dupont)によって創設されたライターや万年筆の会社で、ダウ・デュポンとは関係がありません。

TISSOT(ティソ)というスイスの時計メーカーがありますがその創設者の名前はシャルル・ティソです。


シンプルで美しいティソトラディション。35000円ほど。

TISSOTは1985年からスウォッチグループの傘下に入っています。

悪徳財閥デュポン家の家系図

あまり詳しいものを入手することができませんでした。
これくらいで許してください。すみません。

フランス市民の敵として処刑寸前だった貴族がアメリカに逃げ、そしてダウケミカルと手を結び、さらに巨大化し、農業から食品を操り価格を吊り上げアメリカ国民に限らず世界の人々を苦しめる。

利益追求のために環境を破壊して住民を苦しめる。彼が処刑されていたらもっと住みよい世界になっていたでしょうか。

かつては火薬で人を大量に殺し、今は化学物質汚染で人を大量に殺す。今も昔も死の商人です。そして未来は遺伝子組み換え食品で人を大量に殺すのかもしれません。

一般には理解できないほどの莫大な利益を積み上げるためには平民を苦しめ騙し搾取するのが一番なのかと思うと悲しくなります。

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