台東区のホームレス自立支援施設で生活した体験ルポを読めば生きる希望が持てる

2023年1月7日

2019年のルポ「ホームレス収容所で暮らしてみた。台東寮218日貧困共同生活


※画像はアマゾンへリンク

生きる希望が持てるというのは自分はここまで酷くないという消極的な確認ができるからです。あまり良い姿勢だとは思いませんがそれが救いになることもまた事実であります。

年収200万円高卒独身の私ワープア太郎も明日は我が身です。苦労された先輩の話しを読んで自分の人生の教訓とします。

貧困の匂いが漂う10人部屋での共同生活

著者である川上武志 自身が生活に行き詰まり、助けを求めて入寮した東京台東区のホームレス自立支援センターの匂いの記述からこの本はスタートします。

「体脂の腐ったような匂い」と川上氏は形容しています。一旦ホームレスに落ちると入浴はそうそうできませんから体臭がするようになります。ですが、ワキガの人が自分の匂いに気づかないようにホームレスの方も自分の異臭をなかなか実感できません。

なんとか風呂にありつけたとしても同じ服を着る場合は服を洗濯しない限り同じ匂いは消えません。センターで入浴はできるものの彼らが持っている所有物からの臭いは消せないため(服ではないもの)他の空間の臭いとは異なっているのだと想像します。

畳一畳分の台がベッドであり、カーテンが敷かれプライバシーが確保されていますが、病院のベッドより数段落ちる感じでここで生活する自信が寝床を見たとたんに失われたと氏は言います。

↑豊島寮のベッドの様子。本の中にあった台東寮のベッドの写真とほぼ同じです。
豊島寮定員71名単身男性専用。利用期間は6ヶ月まで。

豊島寮も男性寮でトイレは清潔に保たれ共同入浴場も広く石鹸やシャンプーも無料。洗濯機乾燥機洗剤も無料。下着やジャージも支給されます。

ホームレス自立支援センターの運営は原則として5年

台東寮、渋谷寮、新宿寮、墨田寮、荒川寮、豊島寮、足立寮、目黒寮などがインターネットで検索できましたが、情報が古いものや5年経過したため運営を終了しているものもあります。
定員は多くても100人ほどなので、直接各寮に出向くのではなく近所の区役所経由で紹介してもらえるようにするのが良いようです。

ルポ当時72歳だった川上氏は山谷のNPO法人三友会で『 路上 脱出 生活 SOS ガイド』という小冊子を入手し、台東区福祉課を訪れ台東寮に流れ着きました。


※画像はPDFファイルにリンク

生活SOSガイドに書かれている文字には全部ひらがながルビ付けされていて漢字の読めない方への配慮もなされています。

生活保護の受け方からフードバンクや医療など各種支援団体、仕事の見つけ方など多岐に渡って困窮している方の役に立つ情報が一冊にまとめられています。

川上武志さんは電子書籍を10冊ほど出している。是非カンパしましょう

反原発とこの台頭寮ルポを本名で、過去のタイ生活のノンフィクションを及川タケシ名義で書かれています。

ホームレス収容所で暮らしてみたは72歳の川上さんが2019年に書いた体験ルポです。

今は閉鎖されてないバンコクの伝説の安宿ジュライホテルの内情を赤裸々に綴った。

14歳で両親に置屋に売られた女性の涙の物語。迫真に迫り読み応えもあるとレビューも4星評価。

初めての夕食は豚のエサ?台東寮のごはん事情と寮のルール

川上氏が入寮して最初の夕ご飯は仕出し弁当とインスタント味噌汁でした。
あまりの不味さに吐き出しそうになったとのこと。米が期限切れの不良米のようだったと。

私はインスタント味噌汁が好きなのでちょっとびっくりしました。揚げ物多く、野菜は少なくこんなもの食べ続けていたら病気になると思ったそうです。

私なら美味しく頂けそうです。さすがワープア太郎です。

大阪にあるホームレス自立支援センター舞洲のご飯。
左の台東寮に比べるとボリュームもあり健康的です。
野菜も多いです。

でもどうせ入寮するなら食事が良い方が良いですね。気質的に大阪で質素なものを出すとクレームが凄いのでしょうか。偏見ですみません。

しかし台東寮では毎日お小遣いが400円でるのでした!これは驚きです。月額12000円。中高生の小遣いより多いのではないでしょうか。

タバコは指定の場所で、飲酒は寮内でも寮外でも禁止されています。

400円あればコンビニでストロングゼロ相当のロング缶が2本買えちゃいます。毎日ストロングゼロ1リットル消費されると自立が遠のくので禁止もやむを得いないです。コンビニは貧困ビジネスか?

ギャンブルも禁止です。発見されれば即追い出されます。無断外出無断外出も賞罰の対象。何回か繰り返すと追放になるのでしょう。

以上、紹介はここまでとします。

紹介した内容は全体の1割ほどです。後は入寮者とのいざこざ、破天荒な生き方をしてきた入寮者達のこと、台東寮が犯罪者の巣窟だったこと、貧困ビジネスについてなどがテンポのよいリズムで綴られて行きます。さすがに10冊も本を出している方です。素人ではありません。

川上氏は2019年12月に足立区のアパートに入居されました。台東寮は5年経ったので今は閉鎖されてしまいました。

この本のエピローグは2021年9月に書かれています。2023年現在は75~76歳になっています。本書を出版されましたが生活は楽ではないと想像します。是非彼の本を新品で購入して印税を稼がせてあげて欲しいと思います。宜しくお願い致します。