ケニアのモバイル決済・エムペサに見るアフリカのフィンテック革命の速度

2018年12月6日

日本人が抱いているアフリカのイメージ

アフリカは貧しい大陸、難民が多数、土地も肥沃でなく作物が育たない。おそらく多くの日本人の方がこのような印象を持っているのではないでしょうか。

たしかにソマリアやコンゴ民主共和国、南スーダンなどは内戦や紛争などで多く難民を輩出しています。

日本に届くアフリカのニュースもこのような紛争関連のものばかり。ですから私たち日本人の頭には下のような写真のイメージがこびりついているかもしれません。


(ソマリアの難民:ケニア・ダダーブの難民キャンプ)

世界最大の難民キャンプを持つ国ケニアの首都ナイロビ

首都ナイロビの夜景です。適度にビルも建っていて都会です。

昼間はこんなかんじ。

ケニアと言えば真っ先に我々日本人の脳裏に浮かぶのはマサイ族ですが、ケニアの人口4500万人に対してわずか2~30万人しかいません。

そして彼らの多くがこの画像の首都ナイロビで生活していて、伝統的民族衣装を着て(制服)観光ガイドやサバンナガイドなどをして生計を立てています。

ナイロビの様子をジョモ・ケニヤッタ国際空港から市内まで

空港からの道路の両サイドに韓国サムスンとLGの看板。日本企業のアフリカへの進出は完全に中韓に遅れをとっています。

片側3車線の道路。アメリカンスタイルレストラン。観光客にアクロバチックなダンスを披露する現地の若者。

車はほぼ日本車ですね。古い型のものばかりですが。

映像の途中を部分的に切り取って人に見せても日本人であれば誰もアフリカだとは思わないでしょうね。それくらいアフリカの日常の様子は日本には伝えれていないのです。

スーパーマーケットから見るナイロビ市民の生活

ケニアの一人当たりGDPは1980年代から2000年代初頭までずっと5万円あたりをうろついていましたが、2005年ころから現在までずっと上昇局面にあり、2017年には15万円を突破しました。

30年ほどかけて3倍になっています。

中間層の人々も増えていますが、富裕層ともなると欧米や日本と同じような物価で同じように過ごしていたりします。

この動画はケニヤ最大規模を誇り、ウガンダやルワンダにも支店を出しているスーパーマーケットであるナクマットの経営危機についてのニュースです。

テロ、放火、商品不足で経営困難。

そんなニュースはどうでもよく、このショッピングモールの規模やお客の様子を見て欲しいのです。

洋服はジーンズやシャツなど欧米人と変わらず、モールのフロアも大理石調のシックなものであったり、お洒落なフードコートがあったり、食品売り場や雑貨売り場の品揃えも欧米とまったく遜色ありません。

スマホで電話しながらショッピングしている様子も見て取れます。

はい、スマホがでてきたところでここからが本稿のメインです。

ケニア発、モバイル送金サービス・エムペサとは

エムペサ(m-Pesa)とは携帯やスマホを使っての送金や決済ができるサービスです。


実際の操作画面はこのような感じになっています。

buy airtimeというのはこれで携帯の通信費を買えるようです。

上で見てきたように経済発展著しいケニアですが、ケニアに限らずアフリカでは銀行口座を持たない人々が大勢います。

アフリカ諸国では物々交換が主流であったり、内戦の影響で貨幣が安定して供給できなかったりしたなかで急速に貨幣経済が浸透しつつあります。

ですので銀行をすっとばしていきなりモバイル決済という手段が発達しました。

これは携帯をもたずしていきなりスマホになった中国と様子が似ています。

基本的なインフラが整っていない発展途上国ではそれを通り越して最新のテクノロジーがいきなり地域を席巻することになります。

舗装道路はないけど皆ドローンヘリコプターで移動!のようなこともこれから発展途上国ではあるかもしれませんね。

エムペサは携帯電話のショートメッセージ機能を使って送金・決済できます。電話機能なのでインターネットに接続していなくても構いません。インターネットは都市部でしか整備されていませんし。

エムペサのロゴもスマホではなく携帯電話のイラストになっています。

エムペサの代理店(トップ画像)はケニア国内だけで数万店舗あるようですし、そこに行けさえすれば公共料金などの各種振込みからサラリーの引き出しなどお金に関することには困りません。

エムペサはケニアの会社と南アフリカの会社が運営=イギリスの支配下

エムペサはケニアの通信会社であるサファリコムと南アフリカのボーダコムが管理運営しています。

ボーダコムは南アフリカ共和国のヨハネスブルグにある英ボーダフォンと資本提携している通信会社です。

南アフリカ共和国もケニアもイギリスが旧宗主国。

その利権が現在にも及んでいることがわかります。

ヨーロッパの多国籍企業は旧植民地も思い通りに利用できるので強いですね。

因みにイギリスの旧植民地はケニア、南アのほかにエジプト、スーダン、ウガンダ、ソマリランド、ガーナ、ガンビア、シエラレオネ、ジンバブエ、ザンビア、ボツワナ、マラウイなどがあります。


画像ウィキペディアより

東半分がイギリス残り半分がフランスといった感じですね。

フィンテック技術はアフリカ発ではなく西側発

エムペサはボーダフォンが開発したマイクロファイナンス(貧困者向けの小口金融)ビジネスの一環ということができます。

マイクロファイナンス、マイクロクレジットと聞くと発展途上国の貧しい人々を救う素晴らしいシステム!と思いがちですが、システム提供者による貧困ビジネス化しているという現状も忘れてはなりません。

最新フィンテック技術をまずアフリカを筆頭に発展途上国で普及実験して、うまく機能すれば先進国にも使ってさらに富を築くというのが戦略かもしれません。

ケニヤの国債格付けは?