金融商品取引法違反容疑でカルロス・ゴーン日産会長が逮捕の背景にあるもの
カルソス・ゴーン億単位の報酬過小申告の疑い
横浜市が本社の日産自動車株式会社の会長であるカルロスゴーン64歳が東京地検特捜部に逮捕されました。容疑は金融商品取引法違反です。
金融商品取引法とは有価証券の発行や売買などの金融取引に関する法律。ゴーン氏は有価証券報告書の虚偽記載をしたのではないかとされています。
フランスルノーの株価も6%落ちたということで世界的ニュースに勿論なりそうです。
日産自動車のゴーン会長逮捕後の会見まとめ
出席者:代表取締役社長 西川廣人氏
非常識な時間(2018年11月19日、月曜日22時)の会見で申し訳ありませんとの挨拶から始まりました。
カルロス・ゴーン会長について社内調査の結果3つの重大な不正が見つかった。
1)開示される自らの報酬を少なくするため実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載したという不正行為。
2)目的を偽って私的な目的で当社の投資資金を支出したという不正行為。
3)目的を偽って私的な目的で当社の経費を支出したという不正行為。
会社として断じて容認できない。よって解任を提案する。
22日木曜日に取締役会を招集しカルロス・ゴーン氏の代表権と会長職を解くことを提案する。
本事案の首謀とされている代表取締役のグレッグ・ケリーの代表権も解く。事案の内容の詳細は特捜部の捜査の兼ね合いもあるので西川氏から語れることには限界がある。
内部調査の内容を検察にも報告し協力して捜査をしてきた。株主、関係者の皆様に多大な迷惑をかけたことをお詫びします。
といいながらもこの西川社長の2017年の年収は約5億円。その年は日産の無資格検査の不正があった年。
ゴーン氏が就任して以来の19年間で日産で積み上げた財産もあり社員の努力の結果2000年代にリカバリーしてきた。と西川社長。
厳粛かつ沈痛な面持ちで粛々と会見を続けていく西川社長ですが、何か被害者面している感じを私は受けてしまいました。
実際に記者にもクーデターではないのかと質問され西川社長はそれを否定しています。
カルロス・ゴーン氏やグレッグ・ケリー氏らを負の遺産呼ばわれすることに彼らの肩を持つわけではありませんが、違和感をどうしても感じてしまいます。
日産が司法取引をした可能性も否めません。
ゴーン氏を差し出すことで日産への何らかの罰則を軽減してもらうことも十分ありえます。
追記:東京地検特捜部による司法取引は実際に行われたとのことです。日産の幹部社員2名を不起訴にするかわりに情報を提供させたとのことです。
カルロス・ゴーンはフランス政府にはめられたのか
カルロス・ゴーン氏はフランスルノー、日産自動車、そして三菱自動車工業の3社もの会長をしています。三社合わせて合計役員報酬19億円越えとのことです。
現在の住居は東京にありますが、国籍はブラジル、フランス、レバノンと3つも持っています。
人種はレバノン人となっています。
フランス政府はルノーの株主となっていて、自国の経済活性化のために日産とルノーの経営統合することに期待を寄せていました。勿論日産の傘下にはいるのではなくルノーの傘下に日産を入れたいわけです。
カルロス・ゴーンが逮捕されて日産、ルノー、三菱の3社を同時に束ねる者がいなくなればフランス政府が日産に経営介入できるきっかけが出来たのと同じです。
フランスのマクロン大統領は事実関係の確認を急ぐとともにこの件に関して注視していくとのこと。内心大喜びかもしれません。
というのもマクロン大統領には日産を支配することで工場をフランスに置いたりして経済を回したり雇用を捻出したいという思惑があるからです。
ルノーと経営統合することで日産の独自性が失われるということで日産側はフランス政府の意向に賛同できませんでした。
日産三菱とルノーとの狭間で身動きできにくくフランス政府の要望に迅速に対応できないのであれば、ゴーンなんていらない!
というわけでフランス政府からのなんらかの攻撃で今回の事件がおきたということも
考えられると思います。
そのような可能性もあるのだとしたら、クーデターとか言ってる場合ではなくフランスに吸収合併されて日産がなくなるようなことにもなりかねません。
国際経済戦争といえなくもありません。
カルロス・ゴーン氏が無実を訴える動画
氏は全ての嫌疑において自分は無実であることと、1999年に日本に来て以来、日産と日本を愛してきたと述べています。
彼が無実であるかどうかは別として20年という長きにわたって日本と関わりながら(海外にいる時間も多いであろうが)日本語で訴えられないのは日本を愛しているという発言に疑問を感じてしまいます。
2013年、14年を日本で過ごした上での新年の挨拶動画の日本語も40秒もない動画ですのでこれくらいであればどんな言語であっても暗記は可能なレベルです。
会社のトップでありながら日本語を話せないのであれば社員と意思疎通を図る気がないか日本人を馬鹿にしていると疑われても文句は言えないのではないでしょうか。
実際彼は英語、フランス語、アラビア語、など5ヶ国語を話すようで、日本では専属の通訳の方がいらっしゃいます。世界を相手に仕事が忙しく通訳に任せきりなのは理解できますが、日本を愛しているのだったら20年もいてカタコトというのはおかしいと思う人も多いはずです。
日産自動車はこれからどうなっていくのか
今回の金融不正で逮捕はされてしまったもののカルロス・ゴーン氏がCEOとなり日産リバイバルプランを遂行した結果、2兆円近くの有利子債務を全て払い終え倒産の危機を回避した事実は変わりません。
西川社長は日産生え抜きの人物ですが、独自性にこだわるあまり旧体制に傾くようであれば会社も一気に傾く可能性もあります。
言うまでもなく自動車産業はもはや国内向けに生産しても全く儲からなくなっています。
日本市場は全くうまみがありません。世界戦略に長けていたブレーンを失うことは大きな痛手と見ることもできます。
日産自動車のこれからに目を外せません。
それにしても人間という生き物は一体いくら稼げれば満足できるのでしょうか。
世界のCEOの役員報酬も15位あたりから年間50億円を超えてきています。
3社もまとめているのに年間20億程度では満足できなかったのでしょうか。
西川廣人社長がストック・アプリシエーション権の不正使用で辞任
2019年9月16日付で犀川廣人CEOが株価連動型報酬で不正に水増しした報酬を得ていたことで辞任しました。
水増しした額はなんと4700万円。
SAR・ストック・アプリシエーションライトとは何か
業績連動型報酬の一種で、自社の株価が、一定の期間内にあらかじめ決めた価格を上回った場合、その差額分を報酬として受け取れる。株を買える権利の「ストックオプション」とは異なり、金銭でもらえるのが特徴。株価が下回った場合は受け取れない。日産自動車は2003年の株主総会で導入を決めた byコトバンク
社内規定にある一定の期間外に権利を使うことで不正に報酬を水増したようです。
西川社長だけではなく役員もこの不正に手を染めていました。これを受けて日産は2020年度でSAR制度を廃止することを決定しました。
11月12日に発表された日産自動車の2019年4月から9月期の連結決算は前年同期のマイナス85%と驚愕の結果でした。
前年同期約2100億円がわずか316億円になってしまいました。
逮捕されて一年が経過
4回の逮捕で勾留期間が3ヶ月を超えてしまったゴーン氏ですが、初公判は来春とされています。無罪を主張されているので裁判は長期化する見込みです。
現在65歳ですから裁判を終える頃には70歳を過ぎている可能性があります。そこで有罪になってしまったらどうでしょう。弁護士の紀藤正樹氏によりますと「金融商品取引法違反だけなら2、3年。さらに特別背任罪の逮捕が加われば、懲役10年以上の実刑判決が予想されます」とのことです。
80歳を超えてしまいますね。レバノン人男性の平均寿命は75歳。有罪だと獄中死もありえます。
これだけの人物ともなれば塀の中で死ぬことだけは避けたいことでしょう。
続きまして、