タンザニア人に学ぶアンダーグラウンド経済学・チョンキンマンションビジネス

2022年10月6日

タンザニア人口6300万人。公用語、英語とスワヒリ語。一人あたりGDP1100ドル(2020)

都市部はそこそこですが、農村部は道路も舗装されておらず貧困率も30%を超えていてまだまだ貧しい国です。

我々日本人には宝石のタンザナイトが発見された国くらいの印象しかないでしょうか。

立命館大小川さやか教授から学ぶアフリカ地下経済

アングラ経済の人類学。チョンキンマンションのボスは知っている。

チョンキンマンションは香港のネイザンロードに面している安宿がひしめく複合ビルです。詳しくはこちらの香港ちょん金マンションのページに書きました。

来たるアフリカ時代に向けての予習本としてタンザニアという一国ではあるが、謂わば反社に近い商売人を通してアフリカ人の物の考え方の片鱗を捉えることができて非常に有益でした。

香港のタンザニアコミュニティーを築き上げた50代の人物カラマが主人公。カルマについてどう考えるか彼に聞いてみたくなります。

この人物を中心にリアル空間、インターネット上の双方にネットワークが作られ、アフリカでどんな商品が求められているか等の情報交換、商品の売買、困りごとの相談などがなされています。

筆者の小川さやか氏は文化人類学者でありその観点からのフィールドワークを基に本書が書かれていますがビジネス本として捉えることもでき大変有益な本です。

タンザニア独自のオークションシステムTRUST



相手にどんどん貸しを作っていざという時助けてもらえるようにする。過去に評判が悪くても今真っ当にビジネスしてもらえれば受け入れてくれる。

過去に騙された相手ともう一度取引することも有る。これまでの取引履歴で評価されるシステムがない。

など日本人からすると信じられない商習慣で成り立っているタンザニア香港ブローカーのオークションプラットフォームがTRUSTです。徹底的な刹那主義が貫かれています。

TRUSTは信頼という意味ですからそのネーミングがギャグのようですが、チョンキンマンションを塒にするタンザニア出身のブローカーにはなくてはならない存在のようです。

オープンなシステムでfacebookやインスタグラム、WhatsAppなどでグループを形成しているようです。⇒検閲なしの海外ソーシャルメディア

facebookで検索してみましたが、TANZANIA BUSINESSESで公開グループがありました。車、生活雑貨、衣料品などの写真や売買案件が数多く見られました。

どんなビジネスをしているのか覗いてみるのも面白いでしょう。

しかしこれらのブローカーとはその時限りの一時的「信頼」関係にあるのでスポット的な使い方をして騙されるもそうならないのもあなたの腕次第という日本人にはハードルが高層ビル並の無理難題です。

お金を儲けると信用を得るためのブランディングに走るタンザニア人

ちょっとお金が入ると未来のために貯金するとかはせず、仲間に奢ったり、SNSに投稿するためのファッションやおいしい食事にお金を使います。キラキラ女子と同じ発想です。

自分を着飾り大きく見せることで即席の信用を得ることができます。

自分は売買に一切投資せず、人と人を繋ぐブローカー的なことを暇がある時にバイト感覚でやれるのであれば実入りは少なくても損害はないかもしれません。日本人として参入する場合。

最後にボスカラマの言葉を引用します。

中国人は俺たちスワヒリ人と同じように約束を守らない。たくさんの頼み事をされるとその中から簡単に対応できて利益があることだけ応える。日本人は多くの頼み事をするとパニックになって突然に縁を切ってくる。

中国人と同様に下手にかかわるとこちらの寿命が縮まります。
チョンキンマンションのボスは知っている

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