オーストラリアの高齢者を襲うクレジットカードローンが老人をホームレスに追い込む

2021年3月29日

シドニーに住むクレジットカード借金漬け夫妻の老後は超不安定

オーストラリアの国営放送ABCニュースによる高齢者クレジットカード負債のニュースです。クレジットカードの害悪は世界中に広まっています。

メンテナンスの仕事をしているコールさんは59歳でメンテナンスの仕事をしてシドニーの南西部に住んでいます。週に800豪ドル(1豪ドル83円換算で月収約26万5000円)を稼ぐ現役ワーカーです。

しかし一緒に住むパートナーの女性が糖尿病と高血圧を患っており、2年前にその病気のため仕事をやめて以来一家の収入が半減しクレジットカードに頼ることとなりその個人ローン額は日本円でおよそ400万円。その返済のため苦しい生活を余儀なくされています。

多分バツイチであろうコールさんは子供に借金返済の援助を求めましたがそれでは全然足りませんでした。

パートナーのスーさんが働いていた頃は暮らしは楽だったそうです。収入半減と言っているので2人で50万円ほど月収があったことにになります。多分ほぼ全額使って生きてきたのでしょう。

スーさんは76歳と高齢者です。コールさんと年の差17歳。病気のため仕事をやめたというよりは高齢のため仕事をやめたというほうが正しい気がします。2年前は74歳。いつまで働かせる気でいたのでしょうか。

そしてスーさんの収入がなくなってすぐにお金が尽きてしまうってどういうことでしょう。このニュースでは明らかにされません。しかしコールさんはこれまで借金生活をしたことがないと言っているので、スーさんが仕事を辞めて2年間で借金が400万円になったということです。

不足分を軽い気持ちでクレジットカードローンすることでどんどん膨らんだのでしょうか。現在の利息は20%を超えています。

透けて見えるシティーバンクのロゴ。日本を撤退していたと思ったら日本のサラ金も裸足で逃げていく利息でオーストラリアの高齢者からお金を巻き上げていたのですね。

自分の車のフィルターやエンジンオイルは自分で交換します。

寒い時期は夕方6時には寝床に入ります。電気代やヒーター代を節約するためです。真水のシャワーを浴び、毛布を何枚も重ねて温かくして眠ります。

日本で預金封鎖はありえるのか

返済不能なクレジットカード・ローンを抱えているオーストラリア人は190万人

オーストラリアの人口は約2500万人。そのうちの190万人が返済が厳しい状態でのカードローンに苦しんでいるということです。190万人という数字は大人の人口の15%に相当します。

コールさんは返済がかなり遅れており、そのうちアパート代も支払えなくなりホームレスになる日がくるのではないかと恐れています。最初は車で寝泊まりし、そのガソリンも払えなくなれば橋の下で寝るしかないと現実的に考えています。

世界の貧しい人々に手を差し伸べている救世軍の調査によりますと、オーストラリで借金返済の手助けを求める55歳以上の人々の数が2009年の19%から2018には26%まで跳ね上がっています。

この増加傾向は、病気や退職によりお金が必要となった時にクレジットカードのミニマムペイメントを利用し、数年楽に返済した結果、負債がどんどん増え利息も20%を超え、何年も後に返済不能であることに気付くというパターンが多くなっているからでしょう。

ミニマムペイメントは日本でいうところのリボ払いであります。リボ払いをすることで計画的に借金の返済ができなくなります。詐欺みたいなものです。

なぜリボ払いは違法にならないのか

クレジットカード・ローンで旅行を楽しみまくった夫婦の末路

先程のカップルとは違い、シドニー郊外にある退職者用の素敵なマンションに住む夫妻です。夫は78歳、奥様の年齢は不明ですが、二人ともまだフルタイムで働いています。

それは30カ国以上に趣味の旅行で行った借金が400万円ほど残っているからです。30年間のクレジットカード払いのつけのトータルが400万円です。

この夫妻はファイナンシャルプランナーに相談することにより1枚のクレジットカードの負債全額を帳消しすることに成功しました。

それは1日8回の吸入器の使用及び就寝時の呼吸のための酸素マスク着用という慢性的持病を理由に銀行に債務放棄させることができたからでした。

もう1枚のクレジットカードの発行元である銀行とは返済可能な計画を一緒に立て、6年間で200万円返すことにしました。

ファイナンシャルプランナーのおかげで借金を半減させることができました。優秀なFPと言えるでしょう。

日本に優秀なファイナンシャルプランナーがいない理由

この78歳の男性は名言を残しています。「もしあなたが返済をコントールしないのなら返済があなたをコントロールすることになります」

ミニマムペイメントやリボ払いでは返済をコントロールすることはほぼ不可能です。返済をコントロールするためにはリボ払いはしてはならないのです。

そもそもミニマムペイメントやリボ払いは借り手に返済をコントロールさせないための罠なのですから。

銀行の一番のお客は返済が滞る人々である

返済日に支払わなかったり、返済が滞りがちな人々を銀行は一番の顧客と考えています。

オーストラリア人の3分の2は支払期日を守りますが、3分の1は守りません。そしてそのような人々に20%以上の利息を支払わせて儲けているのです。

そしてその餌食となるのはミニマムペイメントやリボ払いの仕組みをよく知らない若者や老人などの社会的弱者なのです。

クレジット会社や銀行はこのような類の詐欺的ビジネスをしていても少しも心が痛まないのでしょうか。