3Dプリンターで家が建てられたら住宅ローン地獄から解放されるか
イタリアの3Dプリント会社WASPが作ったGaiaという住宅(2018年)
世界の3Dプリンター住宅企業ベスト10社
人生において最もお金がかかるものは言うまでもなく住宅です。一国一城の主になるのが夢であり、その夢を実現してから住宅ローン地獄に陥り住宅ローンを払うためだけに生きる人生になってしまう人も少なくありません。
3Dプリンターの技術で住宅に価格破壊が起こり、今までの住宅購入時の頭金のような値段で購入できればローン地獄に陥る心配もありません。そうなると人類が住宅ローンから解放される日も近いかもしれません。
以下規模や売上などのランキングではありませんのでご注意ください。
1 ICON(アイコン)テキサス・アメリカ
テキサスに本拠地を置くスタートアップ企業 Icon は、アメリカで最初に住宅を 3D プリントするための建築許可を取得した会社です。
動画を見る限りかなり大規模の住宅まで対応しているようです。
Icon社の地元テキサスのジョージタウンではすでに100戸の3Dプリント住宅が建設されました。
3ベッドルームと4ベッドルームの住宅が、1,500から2,100平方フィート(約40坪~60坪)までの比較的小さな物がラインナップ。
24のユニークな外観を持つ8つの間取りを展開しています。
予約開始は2023年で、3Dプリント住宅が実際にアメリカ市場に今年から出回ることになります。
価格はまだ発表されていませんが2018年に同社は800平方フィートの住宅を10000ドルで作れるとしていたので1500平方フィートであれば20000ドル(約260万円)。利益を乗せても300万円台ではないでしょうか。
アイコン社は社会住宅や災害復興住宅、大規模な住宅プロジェクトに加え、月や火星にインフラや居住地を作るための建設システムもNASAと共同で開発しています。
2 Apis cor社 アメリカ
アメリカの建設テクノロジー会社Apis Cor社は米企業ですがオーストラリア・メルボルンに本社があります。
ミキサーを含む3Dプリンターロボを現場に設置した後わずか30分で遠隔操作装置のセットアップは30分で完了し作業に入れるとのこと。
3年前ドバイで世界最大の3Dプリントハウスを建設して話題となりました。ドバイ市から資金援助をしてもらい建てた2階建ての行政ビルが下の動画になります。
3 COBOD デンマーク
COBOD はデンマークの 3D 印刷建設会社で、当初は 3D 印刷の再販業者、サービス プロバイダー、および 3D Printhuset の開発者として設立されました。BODのアップグレードとして、2018年にBOD2 3Dプリンターを発売しました。
BOD2 3D プリンターは、幅 12m、長さ 27m、高さ 9m の建物を印刷できます。
サイズは、幅、長さ、高さ 2.5 メートルのモジュールで拡張できます。BOD2 をセットアップするための新しい方法が開発され、これによりセットアップ時間が 50% 短縮され、プリンターを新しい場所に 4 時間で設置できるようになりました。
4 Nidus 3D カナダ
ニダス3Dはカナダで最初に3Dプリントハウス住宅建設の許可がでた会社です。カナダウィンザー大学の共同プロジェクトとして国から許可が下りました。
ニダス社は北米で最初に2階建ての住宅を3Dプリンターで建設したことを誇りにしています。
nidus3Dは、CSA承認のコンクリートミックスを使用し、デンマークのCOBOD社製 BOD2プリンターのプリント領域を最大化するためにnidus3Dパイオニアのオンサイト製造リフトイン部品を使用しています。
カナダの家族向けに、より迅速で価格の安い住宅を実現するために企業努力を継続しています。
5 PERI ドイツ
ドイツのPERI グループは、世界 70 か国以上で 9,000 人以上の従業員を擁しドイツで初めて3Dプリンティング住宅を建設した業者です。
使っている3DプリンターはこちらもデンマークのCOBOD社のBOD2です。
セメントが織りなす薄いレイヤーが低価格であるにも関わらず高級感があり内装デザイン的にも大変美しいです。
6 CyBe Construction オランダ
上の動画は2020年にフランスで建設された3Dプリントハウスです。
CyBe Construction社はオランダのコンクリート3Dプリント会社。
同社は進化を続けており各国の建築法に準拠できるよう外壁を三層構造にし外層に詰め物を入れられるように設計することもできます。
これは3Dプリント住宅を海外に販売することを前提での試みです。
材料であるコンクリートは現地で調達すれば良いわけですから輸送するのは3Dプリンターのみです。
7 World’s Advanced Saving Project (WASP) イタリア
WASP社はイタリア・マッサロンバルダにある3Dプリンターの設計、製造、販売会社です。
上の動画は土を含む天然素材で作られた3Dプリンター住宅。
同社の目標は世界の人々に安価な住宅を提供して住宅問題を解決し世界平和に貢献するという素晴らしいものです。
2017 年に発表された国連の報告書によると、現在 76 億人いる世界人口は 2100 年には 112 億人に達し、2030 年には 50 億人近くが都市に住むと予想されています。その結果、各国政府は住宅不足(特に貧困層)に関連する大きな課題に直面しています。
この問題を解決解消するためにWASP社は今日も企業努力を続けています。
8 WInsun 中国 上海
Winsunは2020年の時点でもう5階建てのマンションなど建設していました。
どの分野でも日本は追い越されてしまって悲しい限りです。
9 XtreeE フランス
XTreeE はフランスのスタートアップ企業で、建築設計、エンジニアリング、建設向けの高度な大規模 3D プリント技術を開発しています。
印刷には巨大なロボットアームを使用し、高さ 3 m、長さ 5 m のオブジェクトを再配置することなく作成できます。
その特別に開発されたコンクリートは、硬化に 20 時間しかかからず、80 MPa を超える圧縮強度を実現します。同社は、大規模な印刷システムをレンタルするか、共同設計と大規模なプロトタイプ製造で顧客を支援するという 2 つのサービスを介して運営されています。
10 SQ4D アメリカ・ニューヨーク
SQ4D は、ニューヨーク州パッチョーグに本拠を置く 3D プリンター メーカーであり、消費者向けおよびビジネス向けの 3D プリンターと 3D 印刷サービスを製造しているほか、産業向けの家庭用およびビル用の 3D プリンターを開発しています。
同社の ARCS 3D プリンターは、基礎、外壁、内壁、ユーティリティ コンジット、住宅、道路、橋、および商業ビルをロボットで構築します。時間とコストの両方を最大 70% 削減することで、従来の建設方法よりも優れた性能を発揮します。
インドの格安3Dプリンティング住宅のお値段はなんと70万円~
住宅の工期は安かろう悪かろうのハウスメーカーで2ヶ月から。通常は8ヶ月から1年以上かかるものですが、インド初の3Dプリンティング住宅メーカーTvastaの工期は上の動画ではわずか21日(3週間)です。
実際には5日で建てることができるので貧困層のための安価で高品質の住宅提供という目的以外にも地震やサイクロンなどの災害時の被災者のためにも役立つと期待されています。
近い将来300万円くらいで家が買えるようになる?
3Dプリンター住宅が主流になる日がもうすぐそこまで来ているかもしれません。
日本の3Dプリンター住宅は愛知県のセレンディクス社のものが有名ですが、とても小さい住宅で300万から~500万。それでもとても安いのですが、もうちょっと大きくてファミリーで住んでも間取り的に問題のないもう少し大きな住宅も今後同様の値段で購入できるようになるはずです。
300万円で割合満足できる住宅が建てられるようになれば、高級車を買うより安いわけですから私達の金銭的負担も大幅に減少します。
家を買わないことが金融リテラシーを身につける第一歩。住宅ローン地獄回避
という記事を以前書きましたが、3Dプリンター住宅であれば住宅ローン地獄に陥ることも劇的になくなることでしょう。
これは人類にとって本当に喜ばしいことです。
住宅購入が絶望的だった人に夢を、世界の貧困地域で青空学校に通う子どもたちに安価に学校を建設、掘っ立て小屋に住む激烈貧乏な人々にも住宅を、など世界の人々を幸せにできるテクノロジーです。益々の進化発展を希望します。