金融ビッグバンとは一体何であったのか。バブル経済崩壊がもたらした

2019年12月5日

金融ビッグバンとは日本だけで通用する言葉です。1996年の橋本龍太郎内閣から、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎の2001年までに日本で実施された金融改革制度を指します。

日本のバブル経済が崩壊し金融市場を世界に開放しないといけなくなった

日本の平成バブル経済は1986年から1991年の4年と少しの間であります。

その間土地価格の急騰、株価は史上最高値38,957円を1989年に叩き出し、年収のボリュームゾーンは600万円~800万円が21%と一番多く次に多いのが400万~600万円、800万円~1000万円も驚きの16%!

定期預金の金利はなんと6%!普通預金でも驚愕の2%あった時代です。

日本企業のアメリカ企業買収劇も凄まじかったです。

1987年、ソニーがアメリカのCBSレコードを買収(現在はソニー・ミュージックエンタテインメント)

1988年、青木建設が米国ウェスティン・ホテルズ&リゾーツを買収(青木建設は2001年民事再生法申請、現在青木あすなろ建設となっている。ウェスティンは現在マリオット・インターナショナルが所有)

1989年、三菱地所のロックフェラーセンター買収(センターは複数のビルからなり、現在はマグロウ=ヒル・ビルとタイムライフ・ビルのみ三菱地所が保有)

サラリーマンの給料は高く、どんな業種も好景気でした。

↑バブル期にあったディスコ・ジュリアナ東京で扇子を持って踊りまくっていた

男性はお金を使って女性の気を引こうとする方が多く、女性はそんな彼らのことをアッシー君(タクシー代わりに呼べる男)、メッシー君(ごはんだけ奢らせる男)、ミツグ君(財布代わりに使える男)などと使い分けて遊びまくると調子に乗っていました。

そんなお祭り騒ぎが終わりバブルが崩壊すると、長い低迷期いわゆる「失われた20年」に突入していくこととなります。

そこで投入された金融改革が金融ビッグバンです。

金融市場の自由化、公平化、グローバル化のための外為法改正法

ニューヨーク証券取引所(NYSE)

1996年11月、橋本龍太郎総理大臣は「2001年までに日本を米国ニューヨークや英国ロンドンのような国際金融市場にする」と宣言しました。

外為法(外国為替及び外国貿易法)は1949年(昭和24年)に外国為替及び外国貿易管理法として制定されました。

当初のものは管理法という名の通り、外国との取引を厳しく規制するための法律で、1998年に改正されたいことで「管理」の文字が消えました。

対外取引の原則自由化によって先進諸外国同様に改正前よりスムーズな国際取引が可能になりました。

また日本は北朝鮮を筆頭にシリア、ソマリア、ロシア、イラン等に経済措置を実施していますが、これも外為法でできることです。

金融システム改革法で何を目指したのか

国民に、よりよい資産運用と資金調達の道を提供するため、ニューヨーク・

ロンドンと比肩しうる、自由で公正な金融システムを構築することを目的とし

て、金融の各業態を越えた総合的な改革を一括して行う。 by大蔵省1998年

現在では普通に買える投資信託の導入、そしてそれらを銀行の窓口で販売できること、証券デリバティブの全面解禁などがなされました。

金融ビッグバンにおけるこの外為法改正法と金融システム改革法の2本柱で日本はどうなったのでしょうか。

金融再編で銀行の倒産と合併の嵐 大蔵官僚の腐敗と汚職

1990年、太陽神戸銀行が三井銀行と合併して太陽神戸三井銀行に(後にさくら銀行、現三井住友銀行)3大メガバンク

1996年、東京銀行と三菱銀行が合併して東京三菱銀行に(2006年にはUFJ銀行と合併現三菱東京UFJ銀行)3大メガバンク

1997年、三洋証券、山一證券経営破綻

1998年、北海道拓殖銀行経営破綻(都市銀行として初)

1998年、日本長期信用銀行経営破綻、国有化を経て現新生銀行。救済のために公的資金1766億円が投入される。

1998年、日本債券信用銀行経営破綻、2000年ソフトバンクグループ、東京海上、オリックスの投資ファンドに売られあおぞら銀行に改名

2002年、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が合併してみずほ銀行に。3大メガバンク

2002年、東海銀行と三和銀行が合併しUFJ銀行に

2003年、あさひ銀行と大和銀行が合併してりそな銀行に

この倒産と合併の渦の中大蔵官僚たちは甘い汁を吸いまくりました。大蔵省接待汚職事件です。世間ではノーパンしゃぶしゃぶ事件と呼ばれました。

この事件によって処分された人間の氏名や学歴はこちらのサイトで見られます。

この事件は大蔵省解体の原因の一つにもなりました。

金融ビッグバンは失敗に終わった

官僚主導でなされる政策は国民の利益ではなく官僚の利益のためになさせるものですから、当然の結果といえましょう。

2019年現在、メガバンクも大リストラ計画を発表しています。

株だ!FX(外国為替証拠金取引)だ!仮想通貨だ!と投資ではなく投機的にとらえて資産を減らしている人が山のようにいます。

素人が片手間にやって儲けられる可能性は非常に低いと言わざるをえません。