ラトビア金融危機~国家消滅の危険性からドローン技術で脱出できるか~

2018年12月9日

バルト三国の一つラトビアの経済状況が芳しくない

北はエストニア、南はリトアニアに挟まれて位置するバルト三国の一つラトビア。

エストニアやリトアニアはブロックチェーン技術で生き残りを模索しています。

ラトビアは1991年にソビエト連邦から独立。そして2004年からEU(欧州連合)に加盟しています。

EUの基本理念は「加盟国間での人、物、サービス、資本の自由移動」です。
(シェンゲン協定によるシェンゲン領域内の自由な移動)

旧共産圏の貧しい東欧の諸国からの人口流動は防ぎようがありません。決壊したダムの如しです。

ドイツのように同じ国内で東西に分裂していた場合は東西双方にとってもビジネスチャンスが存在しました。

その一例はドイツの不動産王の記事で紹介しています。

ラトビアは女性が活躍できる国というのは本当か

ラトビアの場合国際競争力のある産業で目立つものは何もなく、(木材などは日本も輸入しています)

外資の金融機関が進出してきて甘い審査で融資しまくったので、一時的に潤ったような状態になりましたが、ご多分にもれずリーマンショックの煽りをヨーロッパの中では最も深刻に受けてしまいました。

経済規模が沖縄と同等ということで、この危機は相当こたえ緊縮財政を強いられました。

ラッツという通貨を使用していましたが、2013年と比較的最近になってユーロを導入しています。

ラトビアの月収は平均12万円ほど。

ヨーロッパでは低いので能力がある人は若者を中心にどんどん国外にでます。

国内には能力がない人が残ることになります。

女医が多く性差別が少ない!という新聞報道がありましたが、子供がいる女性の国外移動は厳しいでしょうし、医者であってもサラリーはラトビアでは低いので、国外脱出できなかった結果女医が残ってしまったというケースもあるでしょう。

かつて260万人ほどいたラトビアの人口ですが、2017年は190万人ほどで現在進行形で人口流出しています。

ドローンやIT、フィンテック産業で国家消滅の危機を乗り越えられるか

世界のドローンシェアは1位が中国のDJI社、2位フランスパロット(Parrot)3位がアメリカの3Dロボティクス(3D Robotics)です。

日本の産業用ドローンの会社であるプロドローンも健闘してますが、中国のDJIと一緒に研究開発していることころが個人的に気に食いません。

ラトビア発ドローン開発のエアロネス社はなかなか優秀

ラトビアの産業用ドローンに特化しているエアロネス社が開発中の消火活動のためのドローンの動画です。

消防車のはしごをはるかに超える300~400メートルの高さまで到達することができます。

水のホースを接続したまま上昇できるパワーとモーターがあるので、ビルの掃除や風力タービンの掃除にも利用できます。

バッテリーのもちが30分と悪く、それをなんとかもっと長くすることが目下の課題となっています。

しかし現在、ウォーターホースだけでなく電気ホースも装着することで電源さえ確保できれば使用時間も延ばせるようです。

火災の消火、ビルメンテナンス、風力タービンメンテナンスなどでは広範囲に動き回るのではなく狭い範囲での上下運動が多いので電気ケーブルをつなぐやり方で問題なさそうです。

風力タービンの清掃をするエアロネス社のドローン

冬場では凍結防止剤を吹き付けることができるので、メンテナンス能力があるということです。

ラトビアのスタートアップフィンテック企業Nordigen(ノルディゲン)

膨大な顧客データから銀行の融資の決定を下すフィンテック技術の開発をしているNordigen。

上の動画で個人の収入や民泊で得たアルバイト代までのデータを元に融資するかどうか決めます。

これは電子政府(国民の年金から税金まですべてコンピュータによって管理される)あってこそのデータ収集です。エストニアなどがその例ですが、人口が200万そこらだからコントロールし易いというのも勿論あります。

しかし我が国のマイナンバー制度と同様に世界はそのような流れにキャッシュレス化も含めてなっています。それを見越してのスタートアップなのです。

従来の伝統的な信用調査よりも素早くより信頼できる顧客信用チェックができるテクノロジーの開発をしています。

現在12の国の銀行や融資会社と提携を結びデータ分析をしています。

これが更に進むと国境がなくなり地球人としての収入データなど全てが一元管理されるような気持ちの悪い世の中になりそうです。

バルト三国のような旧共産圏で人口と産業資源のない国は生き残りのためにスタートアップ企業の誘致や自らが先端技術を開発していかねばなりません。

スタートアップ企業や小規模ベンチャーは従業員の数も少ないでしょうから雇用を生み出したり現地でお金を落とすということもそれほど期待できないはずなので、国家として最新技術に取り組まなければなりません。

2050年には人口が150万を割り込む恐れがあるとみなされている国ラトビア。その国家生き残り戦略が奏功するのか見守っていきたいところです。

 

中小企業の資金繰りにファクタリング