存在しないことになっている日本の無戸籍問題と貧困
なぜ無戸籍になってしまうのか
無戸籍者の多くは、出生時に親が出生届を届け出なかったことが原因です。
出生届を届け出すことにより、子どもは戸籍に登録され、日本の社会保障制度や教育制度などの公共サービスを受けることができます。
しかし、親が出生届を届け出さない場合、子どもは戸籍に登録されず、無戸籍者となってしまいます。
ではなぜ親が我が子の出生届をださないのか。
ひとつは親が不法滞在の外国人である場合。
出生届を出すことで自分自身や家族の身元がばれることを恐れて出生届を出さないでしょう。
親が日本人である場合は複雑です。
法律では離婚後300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したと推定されます。
そうなると、離婚してすぐに再婚相手の子供を身ごもったとしてもその子供は元夫の子供ということに戸籍上なってしまいます。
これを嫌ったり躊躇したり避けたりしている間に子供が無戸籍である状態を放置してしまう結果になります。
現在法務省の調査では全国に無戸籍者は800人ほどいることになっています。把握されていない人数を足すと最低でも1万人はいるのではないかと予想されています。
無戸籍者が生きるために制限される強烈なデメリット
日本国民には教育を受ける義務があります。それは無戸籍でも同様です。
ですが、就学年齢になっても無戸籍である場合、役所から就学通知書が届きません。
だから母親が市町村に出向き支援を自ら申し出ないといけません。精神的に追い詰められている状態であったり、様々な困難に直面していて行動できない場合は子供が教育を受けないで育つことになってしまいます。
無戸籍者は、国民健康保険や国民年金、介護保険などの社会保障制度を利用することができません。これらの制度は、戸籍に基づいて支給されるため、無戸籍者は利用することができません。
戸籍も住民票もないと運転免許もパスポートも取れませんし、アパートを借りることもできません。
無戸籍で生きることがいかに辛くて大変かが理解できる動画
2022年に日本民間放送連盟賞TV教養部門優秀賞を受賞したMBSニュースのドキュメンタリーです。
困っている人々のために活動されている女神市川さんが無戸籍問題に取り組むことになったきっかけのお話動画
市川さんの活動に下げた頭があがりません。ありがとうございます!
番組で無戸籍者の支援をしている市川さんの相談先はこちらです。
日本の無戸籍者と貧困の関係性
無戸籍者と貧困の間には、密接な関係があります。
無戸籍者は、社会保障制度や教育制度から除外されているため、貧困に陥りやすく、生活や教育において不利な状況に置かれます。
国民健康保険にも加入できませんし、病気になったら10割負担です。
そして先のドキュメンタリーにもあったようにシングルマザーで無戸籍者であると負が連鎖し生活も行き詰まってしまいます。
2020年に大阪の高石市で起きた無戸籍女性(78歳)の餓死は大変痛ましいものでした。
保護された息子さん(50歳)は学校には通わず読み書きはお母様から習い、仕事は転々とし、お母様がなくなる頃は無職で水と塩で餓えをしのいでいたとのこと。
朝日新聞がこの事件を取材したところ死の5年前に市の職員がこの女性と接触していたことが分かったそうです。
書き直された申請書・餓死の無戸籍女性・市との「接点」という記事ですが、有料になっており詳しいことは分かりません。このように社会的に重要な記事を有料にして公開限定するとはさすが朝日です。
無視される人々への支援策を考える
生活保護者、ホームレス、東横キッズなど、好奇の目で見られることはあっても結局社会から無視されているような存在でその支援には多くの目が行き届きません。
政府は一応無戸籍者や貧困者に対する支援策を進めています。戸籍法の改正により、無戸籍者の身元確認が容易になるよう取り組んでいます。
しかしその取組が十分とはとうてい言えません。
やはり問題に取り組まれている市川さんのような方を探したり、明石市のように弱者対策をしっかりしようとしている自治体を探さないといけません。
先程の選挙で元明石市市長泉房穂氏推薦の丸谷聡子氏が市長に当選され、明石市は泉氏のDNAを受け継ぐ市政を続けてくれることになり喜ばしいです。
自公をダブルスコアで撃退しました。明石市民の民度はずば抜けています。
このように正しい人間を選び応援してその規模を拡大させることで弱者に優しい社会が築き上げられるのだと思います。