河上肇の貧乏物語の時代から世の中何も変わっていない。格差社会の加速

今その価値が見直されるべき本、貧乏物語

貧乏物語というタイトルなので、小説かと思って読んだのですが、大正時代の本で、貧乏の本質とそれをこのよからなくすにはどうしたらよいかということを真剣に検討、分析した本でした。

一億総中流だった時代から日本もついに格差社会となってしまいました。

読んでいて全然古さを感じません。資本主義というものはいつの時代も同じような変遷を辿るのでありましょう。

国富論を批判しています。河上肇さんはマルクス主義・共産主義ですので当然ですが。

キンドルで読んだので、ドッグイヤーをつけられないため該当ページに戻るのが非常に億劫でありました。漫画なんかは向いているのかもしれませんけど、骨のある本はキンドルで読むには向かないと実感しました。

ページを折ったり書き込みできないのは不自由です。

アダムスミスの国富論の肝は重商主義を批判したことと分業の大切さを説いたこと。

あと有名な言葉、”神の見えざる手”によって国は企業に口出しせず、自由競争をやらせておけば経済は勝手に良い方向に進むということ。

このようなことを世界が推し進めていった結果、世界のトップ大富豪26人だか62人だかが世界の下から数えた半分の人口の富を持っているというとんでもない状態にしてしまったのです。

貧困がこの世からなくならない理由

話の中でウィリアム・レーンという人が、南米に理想的社会主義国家「新豪州」という国を南米のパラグエーなるところに立てようとして失敗した話があるのですが、ネットで調べても何もヒットしません。

パラグアイの歴史を調べても何もわからない。

全く持って私の明日と同様漆黒の闇に包まれているのです。

貧困がなくならない原因は、お金持ちが求め尚且つ利益があがる奢侈(しゃし)品を企業が追求し続けるので必需品が本当に必要とされているレベルの人に適正価格で回らないことにあると川上氏はいっています。

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現代で例えれば、アフリカにトウモロコシを食料として売るよりも日本に家畜の飼料として売るほうが高く売れて儲かるようなこと。

貧乏人は贅沢をできませんが、金持ちは贅沢をやめることができる。

奢侈品を買うことをやめれば全体の貧困はなくなるという。

お金持ちは贅沢をやめられるか

大富豪

しかしこの本が結構うれたという大正時代からも人間の嗜好は何一つ変わっていません。多分それは太古の昔から。

たしかに貧乏人には贅沢をするという選択肢はありませんが、お金持ちには贅沢をしないことを選ぶことができます。

ですがお金があるのに慎ましく生きるということを実践出来る人は多くありません。本当のお金持ちは割合質素に暮らしているものですが。

清貧な生き方を貫いた土光敏夫氏のような人物はなかなか我々の目の前には現れてくれません。

バブル時代にいい思いをした人々が生活レベルをなかなか落とせないことを鑑みると、富裕層から脱落しても贅沢をやめることは難しいことが分かります。

一度知った蜜の甘さを脳から削除することはできないのです。

豊かになりたいと思うことは人間の本能。

そして他人の役に立ちたい、他人を幸せ、豊かにしたいと思うこともまた人の願望の一つですがその気持ちは本能よりも数段下に位置していると思います。

自分も貧しいのにより貧しい人を助けようとするのは聖者の行為です。マザー・テレサです。凡夫にはできません。

マザー・テレサも実際のところどうだったかは意見の分かれるところであります。

この世から貧困を撲滅するためには

世の中の全ての人がより幸せになってほしいと願う勢力と、他人より良い暮らしがしたいと願う勢力の差が圧倒的にあるのだと思います。

全ての人の平和を願い且つその目的を達成するための行動をする人の割合が自己の利益のみ追求する人の割合を凌駕することになれば貧困はなくなります。

金持ち以外が全て金持ちを憎み自分は金持ちになることを100%否定し、貧乏人が一致団結して打倒金持ち!と蜂起できるなら貧困はこの世から消滅するのではないでしょうか。

で、そんなことあり得るわけないので、どう転んでも世の中から貧困がなくなる日が来るわけがなく、
少し暗い気分になったりします。

超富裕層への富の集中がこのまま続いていくようであれば、99%以上の市井の人々は富裕層に対して暴動を起こすか、もしくは超富裕層の価値観を全否定し且つ彼らの存在を無き者として異なった次元で生きるかの二択になるような気がします。

見せびらかす馬鹿な金持ちは世間から駆逐されるかも

超富裕層の価値観否定とは、暴走族のことを暴走族と呼ばずに珍走団と呼ぶことで恥ずかしい認定を受けて彼らの数が激減したように、スーパーカーに乗る者を忌み嫌うような行為です。

ロンドンなどではアラブの金持ちのバカ息子共が数千万円~億するスーパーカーで騒音を出しまくり市民から怒りを買っています。

この動画では騒音のスーパーカーに怒る狂った人々というタイトルがつけられていますが、騒音を出す車だけではなく、駐車してあるだけのスーパーカーに対しても登って放尿したり落書きしたりしています。

超富裕層が世間から怒りを買っているのは否めません。持たないもののストレスと鬱憤がこのような行為をさせてしまうのでしょう。

木下優樹菜さんのタピオカ店問題やチュートリアル徳井さんの脱税問題などへの世間のバッシングが相当手痛いのも格差社会へのガス抜きであるように思います。

富をひけらかす者は本当の金持ちではないと思うのですが、そのような人々は金持ちと世間から簡単に認識されてしまうので、こらからの時代このような方々は命の危険も考えないといけなくなります。

自分はお前たち庶民とは違う!と人々を見下すような金持ちが減れば世界はもっとよくなるのですが、この超格差社会になっている現状を河上肇さんが見たら何を思うでしょうか。