大阪の下町の生活を描いた『じゃりン子チエ』から見るヤングケアラーの現状

じゃりン子チエ再ブームの要因

株式会社トムス・エンタテインメントのチャンネルで3話まで無料公開されています。

じゃりン子チエははるき悦巳原作の漫画で1978年から19年の長きに渡って連載されました。そして1981年にはアニメ化もされました。

架空の大阪の下町。チエの母は家を出ていき、父は無職の遊び人。チエは家業のホルモン焼きの店を祖父母に仕入れだけしてもらいホルモン調理から接客まで一人でこなしています。

チエは小学五年生。祖母の手助けはあれど、基本一人で自活しています。

働かないばかりか問題ばかり起こす父テツの面倒も見ないといけなく究極のヤングケアラー物語となています。

アニメであれば何でも見ていた当時の子供達も放送してたから惰性で見ていたのであって、子供がみて面白いアニメではありません。

上の動画のコメント欄にも当時は面白いと感じなかったが今みると味わい深いという感想が散見されます。

ハチャメチャな人間がたくさん描かれますが人情味溢れていることが現代人が失ってしまったものへのノスタルジーとしてこの作品が見直されているのだと思います。

格差貧困が日本で広まりを猛烈な勢いで見せ始め、じゃりン子チエの中の貧困も現代でも普通にあるどころか増えています。

時代がじゃりン子チエを追い抜いているように感じます。悪い意味で。若者からも一定の支持を得ていることを考えると更に実感できます。

全67巻を電子書籍で求めると5万円近くしますが、今現在キンドルアンリミテッドに入っていればなんと全巻無料です。いつまで無料かは不明です。

日本でのヤングケアラーの現状

ヤングケアラーとは、18歳未満の子どもや若者が、家族の病気や障害、高齢などにより、介護や世話を担うことを指します。

厚生労働省によると、令和2年度に中学2年生・高校2年生を、令和3年度に小学6年生・大学3年生をそれぞれ対象に調査を行った結果、世話をしている家族が「いる」と回答したのは、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%、大学3年生で6.2%でした。

ヤングケアラーの正確な数値は不明瞭ですが、この調査結果からも、ヤングケアラーの存在が社会的に重要な問題であることが示唆されています。

ヤングケアラーが抱える問題

家族が病気している。未就学の弟や妹がいる。家族に障害を持つ人がいる。家族に介護が必要な高齢者がいる。

これらが理由で経済的原因も含め18歳以下の子供たちが彼らのお世話をしないといけない場合があります。

介護技術や病人、子供のお世話の知識が不足していることが往々にしてあり、身体的・精神的な負担が大きくかかります。

友達や学業に当てるべき時間が圧迫することにより社会的孤立を感じたり成績不良に陥るなど様々な問題に巻き込まれてしまいます。

ヤングケアラー支援の取り組み

国としては支援策がでているだけで具体的な取り組みがなされていないのが現状です。

異次元の少子化対策などとふざけたことを言って何十年も前から深刻になることが分かっていたにも関わらず放置してきた自民党政権が具体的に何かをするとは到底思えません。

わずか年間30万円という助成金で赤字垂れ流しでも全国に広まっている子ども食堂のように、心ある人々がこの問題に関しても対処しなければならないでしょう。

心あるNPO、個人や地域が協力体制の拡充や交流イベント、学習会の開催などを通してヤングケアラーが社会とつながり、自己実現の場を広げるための支援をしていかないといけません。

まとめ

ヤングケアラーは、自己実現や社会的なつながりを築くための時間が圧迫されることや、身体的・精神的な負担が大きいことがあります。

ヤングケアラーが自己実現や社会的なつながりを持つことができるよう、支援が必要であることは明らかです。

「じゃりン子チエ」は、1970年代から1980年代の下町の生活を描いた作品ですが、現代においても、そのリアルな描写やメッセージが多くの人々に共感を呼び、再び注目を集めています。

作品を通じて、ヤングケアラーが抱える問題や現状について考え、社会的な問題に対する理解や関心が高まるきっかけになれば良いと思います。

注目されることで社会の注目も集まりこの問題を解決しようという動きも大きくなるはずです。