電子記録債権「でんさい」は手形に代わるか。デメリット

2019年3月9日

でんさい、でんさいネットとは何か

でんさいとは電子記録債権のことで、一般社団法人全国銀行協会が作った全銀電子債権ネットワークの中で使われる債権です。

スタートは2013年とまだ新しいものです。

手形や売掛債権のデメリットを克服した新しい形の債権です。

それでは手形や売掛債権のデメリットは何かみてまいりましょう。

手形や売掛債権のデメリット

画像はアメリカのコマーシャルペーパー(無担保約束手形)

手形決済のデメリットは、相手企業から手形での支払いが合った場合、すぐに現金が手に入りませんし、相手が倒産した場合手形は不渡りとなり決済できなくなる可能性があります。

売掛債権を売却して現金を得ることをファクタリングといいますが、手数料が高い傾向がありますし、悪徳ファクタリング会社にひっかかってしまうリスクもあります。

ではでんさいのメリットは何か

まず手形と違い印紙税がかかりませんし、インターネットバンキングを利用して行いますので、ペーパーレス郵送いらずで紛失の恐れもなく安全に事務処理を少なくして利用することができます。

集金や取立手続きも要らないので時間やガゾリン代なども節約できます。

銀行、信用金庫、信用組合などでんさいを取り扱う全国の金融機関ででんさいを利用できます。

でんさいの最大メリットは電子記録債権を必要な分だけ分割して割引や譲渡が可能なところです。

手形割引では基本全額割引しないといけません。

でんさいでは都合の良い分だけ割引できますし、電子データなのでスピーディーに処理されます。

譲渡の場合も手形ですと裏書することによりその手形の権利が第三者に渡るわけですが、でんさいの譲渡は手形のまるまる1枚全てではなくでんさいの必要金額を分割して譲渡できます。

手形の決済はどんどん減っている

1990年に手形の決済はピークでした。バブル崩壊は1991年です。

約4800兆円ほど手形の交換高があったのですが、2017年には370兆円ほどとなりピーク時の1割以下となっています。

2019年はキャッシュレス元年と呼ばれていますが、企業間取引の電子化は思うように進んでいるとはいえません。

でんさいがスタートした2013年からは右肩上がりででんさいを導入する企業が増えていたのですが、ここのところ頭打ちになっているようです。

中小零細企業での取り組みの遅さが起因しているようです。

手形取引が減っているとはいえ、現在もでんさいより手形取引のほうが25倍も多い交換高があるとのことです。

この調子ではでんさいが手形に変わるのはいつの日になるでしょうかといったところです。

ジュネーブ手形統一条約により手形法が作られた

日本はジュネーブ統一条約を批准して昭和7年7月15日に手形法を制定しました。ですから手形には約90年の歴史があるわけです。

このように商習慣に深く根付いてきたものですから、はいこれからでんさいにします!というように簡単にはいきません。

日本の大企業の割合は30%です。のこり70%が中小零細企業となります。

でんさいを利用するにはパソコンとでんさい専用のインターネットバンキングは必須です。

パソコンがない会社というのはあまり想像できないのですが、パソコンがなければでんさいは利用できません。

零細企業の全てにまでパソコンが行き渡らないとでんさいが手形に全て置き換わる日はこないかもしれません。

でんさいのデメリットはやはりセキュリティー問題

実体がないので実体の紛失や盗難はないかもしれませんが、ハッキングやデータが破損してしまう可能性は否定できません。

そして色々な経費を削減できるかもしれませんが、手数料は各金融機関によって異なりますので、今取引している銀行より安いところがあればそちらのインターネットバンキングを利用するほうが得かもしれないので検討しないといけません。