米国クレジットカードの歴史 カード破産でアメリカ中流階級消滅で日本も同じ未来を辿るか?

2020年4月11日

米国クレジットカードの歴史 カード破産でアメリカ中流階級消滅

国民が買いたいものを我慢せずに借金して大量消費することによって経済を支え、企業も繁栄していきた国アメリカ。

リーマンショック、サブプライムローン問題などにより借金のつけは当然個人や家庭が払わねばなりません。

家を手放さなければならない場合、モーテル暮らし、トレーラー暮らし、ミニバン暮らし、車上生活ホームレス、そして路上生活とどんどん追い詰められていきます。

収入以上の出費をしてしまう理由は過度のクレジットカード依存です。金銭感覚に乏しいものが持つととんでもない悪夢が待っています。

クレジットカード誕生のヒントを与えたエドワード・ベラミー

エドワード・ベラミー
彼は、バプティスト派の牧師の子供で、10代は南北戦争と重なっていた。ユニオンカレッジに入学したが、卒業はせず、法律、ジャーナリズムの仕事を経て、文学に専念するようになった。1887年に眠りについた主人公が、2000年に目覚めると社会主義の楽園になっていたというユートピアSF小説「Looking Backward」が最大のヒット作となった。

エドワード・ベラミーは1887年に「Looking Backward」邦題「顧みれば」というユートピア小説を書いたアメリカ人です。

日本で1971年に出されたこの本はアマゾンでは中古しかなく4300円もします。

この本の中で「credit card」という言葉が11回出てきます。

2000年にアメリカ?は社会主義的ユートピアを作っていた!?という内容のお話なので、このクレジットカードは政府から配当金を受け取るためのカードという意味で使われています。

使われ方は違っていてもともかくこの本がクレジットカードという言葉の由来になっているのでしょう。

クレジットカードの前身はチャージコインと呼ばれた物

画像のようなチャージコイン、チャージメタルと呼ばれるものが1800年代後半から台頭し1930年代頃まで使われていました。

穴が空いているものが多く、それらは車の鍵リングに取り付けられるようにするためのものです。

ガソリン自動車が誕生したのが1885年頃。それ以前は蒸気自動車。この自動車黎明期に車を所有できたのはお金持ち。

チャージコインは大金持ちが財布を持たずに気軽にショッピングできるということでブレイクしたのでした。

コインの裏にはID番号が刻印されており所有者が分かるようになっていますが名前がないため拾えば誰でも使えました。

身なりは気をつけないと一発でばれたでしょうけど。

1921年にウエスタンユニオンがチャージカードなるものを発行

ウエスタンユニオンは海外送金する方にしか日本人にはなじみのない金融及び通信事業の会社です。私は銀行だと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。

1800年代後半に電報を使った送金サービスで一大帝国を築き今でも存続しているモンスターカンパニーです。

1921年にウエスタンユニオンによって世に出されたこのチャージカードが現在のクレジットカードの原型でしょうか。

1940年代に入ると石油会社が石油製品を売るためにチャージカードを使い始めることとなります。

1930~1950年代はチャージプレートの時代

チャージプレートには顧客の名前、町、州が浮き彫りにされました。

この頃から本人確認のためのサインが裏面に紙でつけるようになります。

デパートなどでの上得意客が持つことができたようです。

面白いのは顧客がそのプレートを持ち歩くのではなく、それを発行した会社が保存するというシステムです。デパートが発行したものであればそのデパートでだけ、出向いたときに使えるというもの。

多目的使用のクレジットカードの原型はアメリカ・ダイナースクラブ

それまで発行した会社でしか使えなかったプレートですが、1950年ダイナーズクラブの創設者であるラルフ・シュナイダーとフランク・マクナマラが1枚のカードで複数店舗利用できるカードを作りました。

特にそれまでレストランで使えるクレジットカードがなかったためダイナー(飲食店)で使えるカードということで一世風靡しました。

↑1950年代に発行された古いダイナーズ・クラブのクレジットカード。

ダイナーズクラブは現在ではシティーグループ傘下となっています。

そして1958年にアメリカンエキスプレスが追従することになります。

バンクオブアメリカ=銀行が近代的クレジットカードを作った!

1958年。バンクオブアメリカがカリフォルニア州のフレズノにバンクアメリカード社を設立しました。

フレズノでは住民の45%がバンクオブアメリカを利用していました。

そこでその銀行は6万人の顧客にカードを送りつけ地域の商人達にもそのカードを受け付けるよう有利に交渉ができたということです。

1976年にはバンクアメリカードが共通ブランドであるVisaで統一され今日に至るわけです。

1970年にはアメリカで1億ものクレジットカードが流通していたそうです。

2000年代初頭アメリカ中産階級崩壊消失!クレジットカード破産150万件越え!

2003年前後の動画と思われます。削除されてしまいました。すみません。

「本当は借りたお金なのに自分のものだと勘違いしていました。」冒頭の男性はこのように自分を振り返っています。

自分が稼いだ収入以上に消費するライフスタイルを謳歌することで経済を回していた国がアメリカです。

携帯ショップの経営をしていたハリソンさんはなんでもかんでもクレジットカードで借金して購入していました。

プール脇のジャグジーシステム60万円、テーブルセット32万円、シャンデリア8万円、ソファー24万円、ローテーブル11万円、食器棚32万円。

そして極めつけは結婚式費用300万円。これら全てをクレジットカードで支払いました。

3日に1度は夫婦で高級レストランで食事というライフスタイルでクレジットカード会社からの請求額は1000万円を超えました。

クレジットカードのミニマムペイメント制で自転車操業

ミニマムペイメント制度とは借金の総額の2%ほどを入れると残りの支払いは先送りできるシステムです。

日本で言うリボ払いと似たようなものですね。

翌月は金利分上乗せされた残金のまた2%をという風に残金が膨れ上がらせながら支払いを先送りします。

しかしこのような先送りが長く続くはずはありません。

1枚のカードの限度額を使うと更に次のカード、また次のカードとこのハリソンさんは15枚ものカードを持っているのですが、ついに16枚目のカードは審査が通らずゲームオーバーとなってしまいます。

カーター政権時代にクレジット会社の暗躍がはじまる

第39代大統領ジミー・カーター政権時からアメリカのクレジット会社は政府にクレジットカードの金利の上限を撤廃するようロビー活動をはじめます。

2000年代、契約書の量が膨大なものに変貌する

クレジットカード契約時の契約書は1980年では1ページと半分くらいでした。

ところが2000年初頭にはそれが30ページ以上に膨れ上がっておりロースクールの教授でも理解するのが難しい文言が並べ立てられています。

それらは消費者を守るためのものではなく、陥れ金利をしっかり払わせる為の罠であると教授はいっています。

消費者が破産して支払い能力がなくなっても、その前に金利で十分利益を得ていた場合は債権を回収会社に売って更に利益を得ているようです。日本も同じでしょうね。物凄い脅し電話がかかってくるようです。

中流階級を保つには上流階級なみの収入が必要

住宅、健康管理費、子育てにかかる費用、運賃、生活費などが劇的にあがっているのに収入はずっと横ばいなので当然の帰結となります。

健康保険に加入していない人が多いアメリカでの医療費の支払いにクレジットカードが神として利用されているとの事。

大病で一発破産がありえるのですね。怖すぎます。

クレジットカードのフェアなルール作りが必要であると述べている方もいらっしゃいますが絵空事もいいとこですね。

元本が減らないリボルビング払いがアメリカの主流

最低支払額(ミニマムペイメント)だけクリアして残りを次月以降に回すという自転車操業をどんな買い物に対しても平気でやってしまう人がカード破産に追い込まれてしまうのでしょう。

リボ払いはなぜ合法なのか?

支払いがきつくなってきたらまた別のカードを作る。そうやってカードが10枚くらいになると新規カードが作れなくなる。

良い家に住んで、良い家具良い車を全てローンで購入してから真綿で首を絞められるようにじわじわと生活が破綻してくるのです。

リテラの飲み友は支払いの時いつも率先してクレジットカードで支払いそのあと料金を折半します。

ポイントを稼いでいるわけですね。同級生ですが社長です。

金銭管理がしっかりしています。1円も無駄にしません。

クレジットカードは分割で物を買うものではなく、どうせ払わなければいけないものに一括で支払いポイントやマイレージをためるものだと思います。

しかし皆がこんな使い方をしたらクレジット会社は儲かりませんね。

リボ払いしてくれる客、分割で使ってくれる客、そしてキャッシングまで利用してくれる客の生き血を吸って稼いでいるわけですね。

2019年現在のアメリカのクレジットカード利用の様子はどうか

2000年初頭から大問題に発展したアメリカのクレジットカード破産ですが、現在もその悪い状況は変化していません。

変わったことと言えば、クレジットカード利用が危険であることが周知されたくらいです。

現在アメリカでは4000万人以上が貧困ラインでの生活を余儀なくされています。もちろんその中にはクレジットカード破産をしたものもいるでしょう。

FBRの消費者統計調査によると2016年のクレジットカード申請者数は過去最高

2017年にFRBが行った消費者調査では2016年のクレカ申請者数が調査を開始した2013年以来最高であったと発表されました。

ミレニアル世代(25~34歳くらいの人)はカード嫌いと言われているそうですが、それほど嫌われてはいないとの結果もでています。

彼らの8割以上がクレジットカードを所有しており、半数が一人3枚以上のカードを持っているということ。

アメリカの大学の授業猟はクレジットカードで支払える。

↑世界一授業料が高いと言われているニューヨークのサラ・ローレンス大学。

寮を利用しない場合の学費年間500万円。

アメリカの大学の約85%がで授業料の支払いでクレジットカードを利用できます。

しかしクレジットカード会社は授業料支払いには手数料を上乗せし、それはマイルやポイント、キャッシュバックなどの還元より高く設定されていて損をするからやめたほうがよいと専門家は学生やその家族に注意を促しています。

やむを得ない理由でクレジットカードを気楽に利用してしまう

アメリカは2018年、失業率は過去十年で最も低い3.7%。

年間の賃金の伸びも9年ぶりに高値に達し、経済好調と言われています。

ですが、生活費がどんどん上昇して庶民を苦しめています。上昇率は実に過去3年間で14%です。

住宅は21%、家賃は7%この3年で上昇しています。

給料の伸び率が生活費の伸び率を下回れば実質的には以前より生活が苦しくなってしまいます。

給料が変わらないのに物価が高い州に転勤になったり、その引越し費用が必要であったり、病気や怪我をしてしまうと貯えが少なく、信用状態も悪くない人はクレジットカードに手を出してしまいます。

これに味をしめてミニマムペイメントの虜になると悪夢が降りかかってくることになります。

アメリカ人の銀行預金の平均値、中央値に驚く


データFRBより

アメリカ人は金融資産の半分を株式に投資しているといいますからこの数字の倍が金融資産ということでしょうか。

2016年の中央値が140万円、平均値が600万円ほどですか。

それにしても日本人の中央値と平均値の開きは2倍ないのですが、アメリカだと4倍以上ありますので日本よりも格差社会であることがこのデータからも分かります。

生活のために借りられるのであれば(審査が通るなら)クレジットカードであれなんであれ良しとする人もアメリカには多そうです。

日本でも貯金がまったくない人の割合が各年代において増えているので、いつも色々な事象において少し遅れてアメリカを後追いしている我が国でも同様なことが起こってきています。